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中国ステマ事情から読み解く。WechatなどSNSマーケティングをやる際に踏んではいけない’’地雷’’とは?

中国ステマ事情から読み解く。WechatなどSNSマーケティングをやる際に踏んではいけない’’地雷’’とは?
中国で販路を拡大していく場合、WechatやWeiboなどソーシャルメディアの活用は必須であり、既に活用している企業がたくさんあります。しかしながら、PV数やフォロワー数だけで、メディアやブロガー、公式アカウントを利用して広告出稿やPRするのは、結構危険な行為です。

中国で蔓延するステマの実態


今年の9月29日、中国では「Wechat公衆号のPV数を増やすツールを暴く」というニュースが駆け巡り、その内容はすぐさま広がり多くのビッグメディアで注目を集めました。

水軍

念のため、公衆号とは何かと申しますと、Wechat運営のテンセント社が認定したWechat公式アカウントのことです。企業や有名人など、その個人・法人自身が本当に使用しているWechatアカウントであることを他のユーザーに証明するために、Wechat内にて本人認証手続きを踏むことで本人アカウントとして運営サイド(テンセント社)から認めてもらえる仕組みとなっています。公衆号は、機能的にはLINE上でFacebookページのような表現・露出ができるイメージですね。

話を戻しまして、その報道がなされた後、結果として、日常的に数万レベルでPV数を集めるとある公衆号が一斉にしかも突然、数百レベルのPV数にまでダウンしたのです。

その一方で、一部の企業の公衆号ではそれほど影響を受けなかったという事実もあります。むしろ好調さを増しているようです。どういうことなのでしょうか?

実はこういう現象は中国では昔から存在し、’’ステマ’’という表現が一番わかりやすいかと思います。ステマを代行する企業体が存在するのです。しかも無数に。彼らのことは俗に「水増し要員」と呼ばれます。近年「水増し要員」は急激に多くなってきており、そのステマ手口も進化し実行範囲も広がってきています。例えば、Wechatでは公衆号のPV数を一瞬にして10万PV超にさせたり、短期間で動画再生回数を100万超にし、そこから目的のECに膨大なアクセスを送り込みます。他にも微博(Weibo)の人気ランキング上位をおさえたり、映画の評価点数を上げるなど、ありとあらゆる場面でフォロワーや読者の人数を捏造し増やし、圧倒的なボリュームで彼らは稼働しているのです。

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需要さえあれば、「水増し要員」はすぐに来る


スレ立て、レビュー書き込み、質問への回答、動画再生、リンクのクリック、アプリのダウンロード、映画に評価点をつける、KOLとのインタラクティブなアクションをとる等、これは「水増し要因」の日課のようなものです。
インターネットの進歩により、水増しすることの恩恵が莫大であることに気づいた「水増し要員」たちは、自分たちのことを「ネットプロモーター」と呼びます。実際に企業に勤め、彼らをまとめ上げる責任者もいます。規模はほとんどが小さい企業体ですが、規範規則は意外にもしっかりと決められており、フットワークが軽く、お客の需要があれば、短期間で10万以上もの「水増し要員」を揃え、お客の需要に応じて動きます。

募集

月極でWechat公衆号のPV数を増やすサービス


テンセント社のWechat管轄部署が取り締まりを開始した9月以前のこと、1000~2000元程度で投稿に対するPVを10万PV増加させるプランや月極で購買者数を増やすプラン等があったと言います。

WechatのPV数が水増しされているかどうかは発表の時間帯、ピーク期、レビュー数、いいね!のクリック数などを見れば簡単に判断することができます。例えば、ある投稿では10万を超えるPV数で、いいね!数が3000を超えているにも関わらず、レビュー数が30に満たないとなると、これは明らかに怪しいです。いいね!数に対するレビュー数がそれなりの比率になっていないなら、水増しである可能性が高いとみていいでしょう。

いいね、レビュー、水増し

微信、Weixin、水増し

微博(Weibo)人気話題ランキング入りを可能にするサービス


中国のネットで最も成功したSNSにWeiboがありますが、2015年ついにWeiboのアクティブユーザーが月間2.36億にまで達したと発表されています。ちなみに2016年9月時点でのTwitterは3.2億で、WeiboはもはやTwitterに迫る勢い。しかしながら、ある業界関係者の話によると、「Weiboには水増し要員が最も多く、実はキョンシーファン(いわゆる:死んでるフォロワー)がたくさん存在し、ある人気のWeiboアカウントのフォロワーには水増し要員が30%以上いる。」と暴露しています。

ウェイボーフォロワーを増やす他にも、1時間ごとに更新されるWeibo話題ランキングでも、水増し要員が起用されていると言われています。ある関係者は「ランキング10位内の話題は、そのほとんどに水増し要員が起用されている。」と言っているようです。実はこれ、ランキング順位によって水増し費用が分けられているのです。(3位以内:9500元、5位以内:8500元、10位以内:6800元、20位以内:5200元)。お金を払えば、有力なWeiboアカウント(大Vマークが付いたアカウント:フォロワーが多く且つ本人認証された有名KOL等)が広告用として投稿を引用してくれます。安いもので1000~2000元、影響力のあるKOLは10000元~数万元になります。

動画共有サイトやアプリダウンロード数にも潜む水増し要因たち


他にも、動画サイトの特定の動画の再生回数を上げるサービスがあったり、Appストアのアプリダウンロード数を増やすプランがあったりします。これらについては、先述のPV増しやフォロワー増しに比べるとさらに高額で取引されているとのことです。

ある関係者の証言によれば「とある動画サイトに対しては水増し要員たちは、昔からある古いアカウントと最近作られた新しいアカウントを使い分けしており、3年以上の間ルール違反のなかったアカウントでは数十元、新規で作られたアカウントについては安く、0.5~5元で仕事を請け負っているようです。安いアカウントはひどいことに、乗っ取りにより得られたアカウントを水増し業者が仕入れ、それを使っている可能性も高くその安定性は保証されていません。」と言っています。

重要なことはPV数やフォロワー数ではない


これまで見てきたように、中国ではかなりの確率で水増しが横行しており、その不正に対してエンドユーザーである消費者も警戒しています。さらにこの水増しは今に始まったことではないため、消費者には’’見る目’’が育ってきています。いざ中国市場参入後にプロモーションをかけ始めた際に、単純にPV数やフォロワー数を稼ぐためだけにKOLやSNSを活用するといったやり方では、まったく不正はせずとも、消費者には受け入れられない可能性も充分にありえます。

大切なことは出稿先やPR依頼先が市場でどのように見られているか、自社商材にマッチした雰囲気だったり的確なユーザーから支持を得ているか、より自然な形で協業することが出来るかなど、強引な市場参入ではなく市場にあった形で新しい場の雰囲気を作れるかどうかがポイントになってきます。

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