中国当局自身も昨年、ネット販売されていた商品のうち、正規品、もしくは品質水準を満たしているものは58.7%に過ぎなかったことを発表しました。
つまり4割以上が偽物、粗悪品だったようで、この発表はこれから官民をあげて改善を図っていく号令であることでしょう。
ちなみに、中国当局では2014年にネット通販に関して受け付けた苦情は7万7800件と発表していますが、おそらく事実上の数字はもっと大きいと思います。
日本の数字と比べればよくわかるのですが、国民生活センターに寄せられたネット通販に関する相談件数は15万件。
つまり日本の相談件数は中国より多いことになります。
しかしながら、2014年に日本の経済産業省が発表した国別EC市場規模(BtoC)において、既に中国は日本の6倍の市場規模になっています。
日本の6倍の市場規模をもつ中国が、苦情件数は日本の2分の1というのは少し考えづらいかと思います。発表にある「相談件数」と「苦情」という言葉の定義の違いはあるにしろ、これではあまりにもその割合の差に疑問を感じます。
いずれにせよ、そういった中国のネット通販市場において今まさに中国当局が「偽物流通問題を改善しよう」と意気込んでいるわけで、これは相当深刻な課題なわけです。
外資企業として我々日本企業が中国オンラインに進出する際も、この問題はさけて通れません。
つい先日もCES開催中に、ホーバーボートTrotterを制作販売する中国のChangzhou First International Trade Co.が米国連邦保安局からガサ入れされました。ブース出展中に保安官2名に乗り込まれた模様。
理由は、シリコンバレーのスタートアップ企業Future Motionが開発し、CESにもかつて出展したホバーボードOnewheelに酷似しており、同社はOnewheelの技術面での特許を昨年8月、デザイン面の特許を先週取得したばかりでした。
米国製が1500ドルであるのに対して、この中国製は500ドルだったようです。
ホーバーボートのように新しい文化や概念を形にした商品は、人類全体にとって未知なる物です。つまり、これから業界をあげてイメージ作りや商品常識を作っていかないといけないという時に、粗悪品である可能性の高いそんな安価な類似品が先行されては、市場の未来をつぶしかねません。
国連の専門機関「世界知的所有権機関(WIPO)」が昨年1月に提供を始めた「グローバル・デザイン・データベース」では、既に日米欧中韓の知財当局が互いに自国の企業が独占権をもつデザイン等を登録しておくことが出来るようになりました。
企業が自国や進出先の国で意匠登録をする際、今までにない新しいデザインかどうかを確認する必要があるため、中国など海外で模倣品が作られるのを抑制する効果がありそうですね。
まずはこのような多国間連携がしっかりとなされている範囲を認識し、先手先手の偽物対策をしたほうがよさそうです。
参考記事
http://www.bloomberg.com/…/u-s-marshals-raid-hoverboard-boo…
http://www.sankeibiz.jp/…/ne…/150730/cpd1507300500003-n1.htm
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