さて、第1回、第2回で書いた2016年越境ECサミットのレポート記事のおまけです！

億邦主催「2016年越境ECサミット」において、名だたる企業からの来賓たちに、越境ECに関して誰もが気になっている質問をぶつけてみました。果たしてどんな答えが返ってくるのでしょうか？

以下16のクエスチョンを、一問一答形式でどうぞ。

Q1:新制度の一年の猶予期間が終わった後、政策は開放に向かう？それとも締め付けに？

河南省进口物资公共保税中心集团有限公司徐平：「必ず開放に向かう」

 

Q2:ひとつの大きな注文に必ず対応しなくてはならない、しかしながら正規ルートでは輸入できない、どう対応する？

汇通天下CEO孙剑巍：「あくまで個人の意見だが、きわどい輸入のやり方をしてほっとするような事はあってはならない。実際、政府は政策においていくつもの道を用意している。なぜ政策の研究に専心し、それが自社においても正規の方法となるようにシフトしようとしないのか？」

 

Q3:「4月8日（新制度開始日）」以後に起きた不愉快な笑い話をおねがいします。

Amazon中国副総裁　牛英華：「泣きたくなるような笑い話をしよう。新制度以後、我々の団体は日々残業をして、新制度のより深い理解に努めていた。ある日の真夜中、私の同僚が登録リストを作成するため、真剣にOKAMOTO（コンドーム）製品の研究をしていた。結局のところゴムなのか、ラテックスなのか、ウレタンなのか、とブツブツつぶやきながら。その姿は滑稽と言う他ない。しかし研究を怠れば、その製品が今回の政策に適合しているのかはわからないままだ」

 

Q4:T-MALL国際と京東(JD.COM)全球購、どちらが優位に見える？理由は？

贝贝网COO柯尊尧：「これは鋭い質問だね。私の脳内での最初の反応は、T-MALLはモール形式のモデル、京東は自社配送モデル、どちらのモデルも非常に重要で、どちらかに取って代われるようなものではない、というものだ。もしどちらかがふたつの形式をひとつのモデルとして展開するようになれば、きっとそれを始めた方が勝利をおさめるだろう」

Q5:この4月5月で、あなたの知ってる限り最も多くの人員を減らした会社の削減率はどのくらい？

丰趣海淘CEO任晓煜：「私の知る限りでは、約40％人員を削減した会社もある」

 

Q6:カナダブランドの代表として尋ねます。アメリカのAmazonと中国のアリババ、どちらがより優れていると思いますか？

健美生President and CEO Mark Hornick：（通訳を介して）「このふたつの企業はどちらも我々の非常に重要なパートナーだ。どちらがより優れてるかという話ではなく、その能力がいかほどかをより重んじている。私の考え方は極めてシンプルだ。日々時間をかけて顧客を理解し、時代の変化に適応し、顧客のためにより良い製品とサービスを提供した企業が、真に優れた企業と呼べるだろう」

 

Q7:各地の越境EC政策は全く同じではありません。その中で最も良いと思う政策は？

唯品会副総経理 武迪：「各地の政策のどれが最も良いかって？もちろん徐女史のつくった「1210」政策（※注）が最良に決まっている」

※注：2014年7月、税関総署より発表された公告で、個人部品と貨物を明確に区分、両者に対して異なる通関手続きを規定。税関監督管理方式コード「1210」を新規に追加し、「保税越境電子商取引」という呼び名が誕生した。

 

Q8:まだ中国進出を果たしていない、グローバルブランドがあります。何かアドバイスを。

什么值得买CEO 那昕：「現在はモバイルインターネットの時代で、やり方も革新的でなければならない。伝統あるブランドが中国に進出し、市場とブランドプロモーションに対し多額の投資をするのは定石だ。しかし新たな時代においては、そのブランドのターゲットとなる層がどこにいるか、ここにより関心を向けなければならない。もしそうしたターゲットを見つけることができ、彼らにそのブランドを理解させ、核となる消費者を得ることができれば、彼らを利用して情報を拡散させることができる」

 

Q9:一年の移行期間の後、越境ECは独立した商業モデルとして、存在できるのか？

T-MALL国際総経理 劉鵬：「越境ECは一年後恐らく存在しない、なぜなら「越境」という言葉を再度語るのは何の意味もなくなってゆくからだ」

 

Q10:保税モデルにおいて、もし越境ECモールがおびただしい売れ残り在庫を生じさせ、使用期限にもうすぐ達してしまうような場合、どう処理するのが上策か？

阿侠谷CEO朱晶：「保税倉庫の貨物は、容易に入庫されるが、簡単に出庫はされず、非常に大きな問題を発生させる。この在庫の滞留期間がおびただしく長い場合、円滑に処理する方法は、どこのモールならこのような期限切れ間近の商品がよく売れるかを調べる事だ。それだけでなく、貨物が保税倉庫に入庫する際誰もが考えなければならないのは、売れ行きの良い商品は保税倉庫に在庫する事、回転のよくない商品は海外直送方式にしなければならない」

 

Q11：「48」以後、資本市場は越境EC市場をどのように見ていると考えますか？

波罗蜜連合創始者 雷婷婷 ：「私は以前ベンチャーキャピタルで働いていた経験があります。この問題に対して、ふたつの角度からお答えします。

まず、企業投資家の視点からお話しします。この問題は4月8日以後からではなく、越境ECが誕生したその日からの見方として捉えるべきです。投資家が越境ECに関心を持つのは、中国における消費への要求レベルが必ず上昇すると見込んだからであり、政策がこの市場に与える影響がいかほどかという視点で見てはいません。中国の消費者のレベルが上がっていくことに対して投資をするのであれば、政策は誰も阻むことのできないひとつの要因でしかなく、市場が伸びていくという事に対する信念は変わらないはずです。

次に、企業の立場としてお話しします。我々も、当社の様々な出資者たちに関心を持っています。中にはこの越境ECという市場に非常に強い期待をもって投資する方もいます。その一方で、周囲の風潮に乗せられて多額の資金を投入する方もいます。我々企業としては、その目でしっかりと見、頭で考えて出資された資金を歓迎します。軽い気持ちで投資された資金は、必ずしも最後まで道のりを共にできないでしょう」

 

Q12:国際的なブランドと商談する際、最も同意が難しい問題は？

云猴网CEO李锡春：「我々はこれまで、海外に6つの子会社を設立し、国際的なブランドとも商談をし、パートナーシップを築いているが、彼らは中国のECやその政策等に対して理解が浅いことがほとんどだ。そこで彼らに代わって中国市場で成功を収めてくれるという、非常に優れたサービスを提供する企業の登場を希望するようになる。もしあなたが国際ブランドの単独総代理権がほしいなら、なぜあなたなのか？あなた独自の価値はなんなのか？その独自の価値をどのように発揮するのか？それらが明確にアピールできなくてはならない。
まとめると、最も意見の一致が難しい問題は、市場開拓のスピードの把握だ。各人の達成計画は異なる場合が多い」

 

Q13:あなた自身の印象では、全ての輸入品における「グレー通関」の割合はどのくらい？

欧速通国际物流創始者 李威：「私は中国郵政の出身なので、ここで強調させていただくと、中国郵政はまったく「グレー通関」ではなく、法律規定に則っているだけだ。越境ECにおいても同じで、全世界の法律を見渡しても、今のところ海外直送というサービスを保護している。それらも全てグレー通関と呼ぶのか？」

 

Q14:あなた自身の員粗油では、4，5月の越境ECモールの販売量はどのくらい下がった？

心怡科技国际业务部総経理 苏佳涛：「みなが下がったと思っているようだが、国内保税区の販売量はもちろん下落した。自分の印象では大体20％」

 

Q15:卸業者への支払を遅らせたいが、金がないことは他人に知られたくない場合、どんな理由を考えますか？

鲜LIFE创始人兼CEO肖欣：「金融という角度から答えると、小売業は卸業者に迷惑をかけることはない。なぜなら我々はある有名な越境EC企業だ、銀行に我々の売掛金元帳を提示すれば、銀行は卸業者に対し商品代金分の手形を発行してくれるだろう。もしできなければ、京東金融かP2Pプラットフォームを頼ればいい。売掛金元帳を信用にすれば、高めの利息を負担する事にはなるが、卸業者が金のことで私を探すことはなくなる。

もしここ2カ月の実際の情況から話をするなら、みなさんはふたつの理由で卸業者を安心させればいい。ひとつは『申し訳ない、この2か月在庫の回転が遅くなり、代金回収のスピードも遅くなっている』、シンプルな理由だ。もうひとつは、今中国は人民元の外貨管理にとりわけ厳格だ。卸業者には当然外貨で支払う。すなわち、『銀行に支払処理済みの人民元が十数日留め置かれるのは正常なことだ。私でなく、銀行と交渉したらいい』」

 

Q16:新制度がみなに与えた打撃は大きい、ところが各モールの販促活動は非常に活発だ。これはなぜか？

格格家创始人李潇：「我々自身は販促活動などしていない。思うにみな一種の恐慌状態になっているのではないだろうか。なぜならこれまでの正常な状態であれば、商品が手に入らない時、ショップは商品をかき集めていた。もしそれができなくなると、もがき死ぬ確率は高くなってしまう」

 

いかがでしたか？こうして、中国のECを代表する企業の幹部クラスのコメントを見ても、状況は決して楽観してるものではなさそうです。また、こういう時期だからこそ、自身の顧客としっかり向き合い、より良い商品とサービスを提供することが大切であると気づかされます。

今後も政策に右往左往させられる時期が続くのか？逆風転じて更なる市場の拡大に向かっていくのか？中国の越境EC市場から目が離せませんね。