今回は、幕張メッセ通販ソリューション展にて、まさにその心得について言及された特別講演が3つありましたので、そちらの取材内容を元に、筆者の見解、参考資料も織り交ぜながら紹介していきたいと思います。
第一回目は、Inagora株式会社CEOの翁氏による「中国越境EC プロモーション最新事情」です。
日本と中国のメディア戦略の違い
例えば、日本のECで何か女性向けの商品を拡販していこうとした場合、まず女性誌で取り上げられたり、記事広告などを出稿し、確かに注目されているという’’実績づくり’’をすることが多いかと思います。化粧品やサプリなど、よく「有名雑誌で取り上げられました!」とうたっているのは定番ですね。そしてブロガーや読者モデル、著名人などを起用したSNSマーケティングを行い、ある程度売れてきた段階で一気にテレビで認知度を上げていく。テレビというマスメディアの威力は日本ではまだまだダントツです。
しかし、中国の場合、まず雑誌での集客というのは、マーケッターの頭の中には選択肢としてほぼ存在しません。理由は概ね日本と同じ理由です。雑誌の種類が膨大で費用対効果面から見て合わないことと、やはり雑誌はどちらかと言えばブランドイメージ構築のために使われるからです。そして、テレビですが、中国は日本以上に有料チャンネルが浸透しており、無料チャンネルも合わせると、だいたいですが一人あたり平均50~100チャンネルを見ているのが現状です。ともすると、視聴率自体そもそも1%を超える番組はあまり見かけません。テレビではマス効果は狙えないのです。
※出典(http://www.askci.com/news/chanye/20160706/08282438282.shtml)
中国ECでは一体何が重要なマーケティングメディアとなるのか?
中国Eコマースにおいては、やはりSNSマーケティングが最も費用対効果を合わせやすい主流なやり方です。中国版Twitterと言われるWeibo、そして中国版LINEと言われるWechatなどが有名ですね。Wechatにはモーメンツと言われる友だちの投稿やフォローしているアカウントの投稿が見れる、謂わばFacebookのフィードのような機能があり、こちらでの友だちの輪に自社商品の口コミ情報が連鎖的にうまく乗ると非常に効果的です。また日本では確固たる地位を築いているブログという文化も中国にはほぼありません。しかしブログのような機能を持っているツールはあり、実はそれもWechatなのです。個人・法人に関わらず、Wechat運営のテンセント社に公式アカウント申請をし認証をとることでブログのような機能を使えるようになります。公式アカウントは2015年末時点で800万あると言われており、あらゆるジャンル・分野で公式アカウントが存在します。例えば、自社の商品コンセプトにあったモデルや著名人の公式アカウントにうまく紹介されれば、その公式アカウントをフォローしているユーザーから自社商品の情報が拡散されていくことになるのです。
※Wechatの具体的な活用方法を知りたい方はコチラ↓↓の記事も参考にしてみて下さい。
中国でECを運営する場合、Wechat(微信)はどう活用するのが効果的か?
こういったSNS以外では、生放送アプリ。こちらにも注目しておくべきですね。日本で言うところのニコ生のような感覚で、視聴者と放送者が直接生放送を通してコミュニケーションしていきます。例えば美容に関するKOLで人気のモデルが、化粧品メーカーとタイアップし、みんなが興味をもつ普段の美容情報の生放送コンテンツに絡めて最終的にメーカー新商品の紹介をしたりしています。今、中国ではこの生放送ができる機能をいろんなアプリがこぞって実装しています。タオバオやTmallにも最近、生放送ができる機能が設けられました。あらゆる生活場面で生放送の仕組みが取り入れられ、昨今の中国では社会現象とまで言われているのです。このライブ配信ですが、日本ではそれほど流行っていませんが、中国では非常に主流になっています。
中国でのCPAの相場は今どれくらいか?
まず、ここでのCPAは、「初回購入ユーザーの獲得単価」と考えます。
2014年頃までは、人口が日本の10倍もある中国ですから、「とにかく安い商品を広告をかけまくって売れば、CPAは抑えられる」というのが一般的な考え方であり、これでうまく行っていました。よく言われますが、’’巨大トラフィックにおける先行者メリット’’です。しかし最近では、EC参入事業者が急激に増加し、一方でユーザーの目は超えてきており、過去のやり方ではうまく行かなくなってきています。実際にひとつの指標として1UV(ユーザービュー)にかかるコストが約1元と言われています。15円~16円くらいと非常に高いですね。CPA相場もかなり高騰し、200~250元(約3500円~4000円)となっています。これは、あくまで、いろんなものの数値をならした平均相場として参考にしていただきたいことと、実際はSNSやライブ配信アプリなどのマーケティングツール、KOLなどのアイコンをうまく活用し現地に適したプロモーションをかけくことで、獲得コストを大幅に下げていくことも充分に現実的ではあります。相場がすべてではなく、手法によっては圧倒的な成果は出せるのです。
SNS × KOLが2016年以降の中国ECマーケティングの鍵
「KOLエコノミー」というキーワードが、2016年注目されました。Key Opinion Leaderの略ですね。WechatやWeibo、生放送アプリなどで、大衆の心をつかんだモデルやブロガー、セミプロやネット上のインフルエンサーたちが、近年自分たちの知名度を活用し、自分たちでECを始めています。中にはWeiboフォロワーが200万人いるアカウントの持ち主が年間15億円のEC売上を達成したという事実も出てきています。SNSだけを使い自社商品情報をひたすら流そうとしても興味をもつユーザーは増えません。自社SNSアカウントを中心に、どのようにKOLアカウントを巻き込んでいくか。中国ユーザーは今や見る目をもつ非常にシビアな消費者となりました。彼らが興味を持ち今にも口コミしたくなるコンテンツを作り、それに乗せて商品を売り込んでいくか、その緻密な戦略がもとめられます。
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