楽天が急ピッチで進める「生活用品・日用品」の強化
楽天は生活用品及び日用品向けECは成長分野として重要視しており、爽快ドラッグの買収によって生活用品及び日用品向けECにおける直販モデルを強化する計画。「商品価格と配送サービスの競争力を高める」としています。近年積極的に品揃えの幅を広め、商品分類も細分化されてきています。昨年、楽天は日本最大級の健康ECサイト「ケンコーコム」を買収し、完全子会社化したことでも話題になりました。
今後は爽快ドラッグとケンコーコムの連携を強め、商品の販売拡充、物流インフラ及びシステムの効率化、人材・ネットワーク・データといった経営リソースの最適化などの事業シナジーを実現していくというコメントをしているようです。
爽快ドラッグは2000年に設立され、自社通販サイトのほか、楽天やYahoo!ショッピングにも出店しており、日用品の豊富な品揃えを強みとする通販サイトです。爽快ドラッグの2016年3月期の売上高は310億8,000万円。
2015年爽快ドラッグは中国の天猫国際(Tmall Global)と京東全球購(JDWorldwide)に出店しています。
Amazon化する楽天市場
2015年12月期における日本の国内EC流通総額は2兆7千億円。前期比10%増。2016年3月期は前年同期比12.5%増でしした。確かに順調に伸びているように見えますが、決算発表をよく見ると「楽天トラベル」など複数の事業体の合算による数字です。近年、楽天市場の単独での業績開示をしなくなったのは、おそらく単独ではほぼ横ばいの成長率であり株主の目が気になっているというのもあるのではないかと思います。仮にそうであるならば、伸び悩む楽天市場本体の変革が必須となってきます。今回の動きから見ると、利益率を向上させるため、Amazon式の自営モデルにチャレンジし始めているのではないかと思うわけです。
楽天が目指す中国販路拡大への基盤づくりはもう始まっている
そして、楽天もまた中国の巨大マーケットに益々踏み込み始めています。
楽天は中国大手ECプラットフォームJDとの協業により、少なからず成長を見られるのですが、プラットフォームINプラットフォームのやり方自体は、筆者としては成功に限界があるかと考えます。しかしながら、今回の動きに関しては、非常に賢明な意思決定なのではないでしょうか。まさに冒頭であった「商品価格と配送サービスの競争力を高める」ことは、今後スピードと価格の合理性・効率重視の中国市場に展開していくことにおいては、JDという既存の販売ルートを基盤として準備を着実に進め市場を開拓していくということが、シンプルでベストな選択だと思います。ひとつ懸念点をあげるとすれば、2017年の5月に中国越境ECに関する税制が改めて変更となる予定です。(※参考:中国越境EC輸入、新制度への移行期間を1年延長か?)
税制改正後、どのように舵取りをするか、極めて正確な予測と判断が求められます。
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