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ANAとWechatのタッグは中国越境EC市場にどんな変化をもたらすか?ANA Cargo Direct Mallの未来

ANAとWechatのタッグは中国越境EC市場にどんな変化をもたらすか?ANA Cargo Direct Mallの未来
中国で日本製品のブームが始まってもうだいぶ経ちます。既に発表があって久しいですが、この度、日本最大の航空会社ANAも越境EC事業に参入します。日経によると、ANAは今年3月に中国語ショッピングサイトを開設します。

このショッピングサイトはタオバオ(Taobao/淘宝网)やJD(京東)などと同形態のプラットフォーム型で、300社の日本企業、約1500~2000種類の日用品や化粧品等の商品が販売される予定です。6月にはアプリもリリースが予定されています。

ANAは、2019年中国における日本製品購入の越境EC市場規模は2兆円以上に拡大すると予測を立てています。潜在的な中国市場の拡大に期待をかけていることがわかります。

さて、このECプラットフォームは「ANA Cargo Direct Mall(アナカーゴダイレクトモール)」という名称で、基本的にはANAグループ内の企業がそれぞれの役割を担い運営されることになっています。通関から輸送まではANAの強みであり、輸送におけるシームレス化から生まれる時間的優位性、そして一定の低コスト化も実現できることでしょう。

プラットフォームのECシステムの開発会社には、ANAホールディングス傘下にあるACDが担当。ANAホールディングスはACD株式の30%を保有しています。そして集荷と配送はANAホールディングスの国際物流会社OCSが担当。空輸はもちろんANAの役割です。
また、現在明らかになっている中国側の協力者としてテンセントの名前があがっています。今回のECプラットフォームはWechatを通してプロモーション展開をし、Wechat決済も導入するとのことです。

現在、中国B2Cショッピングサイトの市場は、そのほとんどがTmall(天猫)とJD(京東)によって占められています。Tmallが56.6%、JDは24.7%とそのシェアを確保し、両者合わせて8割超えとなります。2兆円市場という金塊の山に見える中国越境EC業界ですが、圧倒的な巨人が2体、そしてその他、群雄割拠のEC企業が乱立する中で、さてANAはある一定の成果を出すことができるのでしょうか。

アリババは今年に入って京都府との提携の元、京都地元の特産品を発売し始めています。JD(京東)も日本製品のプラットフォームを強化し、日本ブランドの旗艦店を続々とオープンさせています。日本旅行者が珍しくなく、消費者にとって日本製品を購入できるチャネルも急激に増えています。ANAが中国越境EC業界で成果を出していくためには、やはりこれまでのプレイヤーでは実現できなかった新たな付加価値が必要となってきます。他にはない’’さらに迅速で安価な輸送’’を実現するというのもANAであれば現実的かもしれません。一方で中国の現在において、7億人近い消費者がスマートフォンで買い物しています。今やPC端末がネットショッピングの主流ではなくスマートフォンなのです。しかしながら、今回のANAのECプラットフォームはまずPC版からリリースされます。3ヵ月後にアプリリリースの予定とのことですが、少なからず順序だけを見れば中国の現状とは明らかに逆を行っているようにも見てとれます。今後のANAの動きに注目です。

 

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