(参考:ダブル11とダブル12の決定的な違いとは?アリババとアリペイが進めるオフライン戦略)
本当の”お祭り”は中国の旧正月前のシーズンです。
中国のお正月は、農暦・旧暦に合わせて行われ、春節と呼ばれています。
今年2018年は2月16日(2019年は2月5日)に控える春節へ向けて、全中国人がどんどん熱を帯び盛り上がります。
お正月商品は中国語で「年貨」(ニィエンフオ)と呼ばれ、もともとは春節を前に普段よりも高級な食品、例えばアワビ・ナマコといった海産物を中心とした食材を煮た”年越しご飯”を食べて1年の苦労を労い、新春を迎える際に親戚や友人とお祝いする時に飴や瓜の種(地域によってはチョコレートやクッキー)・プレゼントなどを買い込むという習慣があります。
更に春節には新しい服を着て、両親にも親孝行で新しい服を買い与え、家具・家電も家の内装も新調して新たな気持ちで新春を迎えるのが中国人の普通にある姿です。
ここまで挙げた食品・プレゼント・衣服・家具・家電・家庭用品に限らず、揃えたいものは何でも揃えようとするので、必然的に中国の旧正月前シーズンは”買物祭り”になるのです。
この旧正月前シーズンを逃すと11月まで”お祭り”がなく、それ以降は淡々としかモノが売れないので、旧正月前シーズンにしっかりと販売して、次の冬までのパワーを蓄えておくべきです。この時期を乗り切る販売戦略をタオバオやT-Mallに着目して見てみましょう。
暗に安く売るのではなく、必需品を確実に取り揃えよう
双十一や双十二といったお祭りの時は、その1日を目がけて魅力的な価格で販売している商品を「衝動買い」するという傾向が強いですが、旧正月前シーズンは違います。1年間仕事をして稼いだお金の残りに加えて、「年終賞」と呼ばれるボーナスが入る時期なので、このシーズンにかける買物予算は決して低くありません。安いから衝動買いするのではなく、常識的な価格帯の商品で新春に必要なモノ・新しくしたいモノ・必需品を計画的に買い揃えていくという傾向が強いと言えます。
例えば、新春を前に家を掃除するとしたら掃除用品が必要、新春に家にたくさんお客様を招き入れるとしたらメンツを保つために大きな包装のギフトがあると喜ばれます。更に日常からの一般ユーザーの自然発生型の口コミ、中国のソーシャルバイヤーやKOL(中国のSNSで影響が高いアカウント)・メディアの仕掛け型口コミを見つつ、その中から「新春」でフィルタリングして行けば何を揃えるべきか見えてくるのではないでしょうか。その上で、更に顧客に向けた露出を整えます。
(参考:中国KOLエコノミーを追い風にするには?越境ECのSNSマーケティング戦略で心得ておくべきこと)
モバイルに特化した店舗作りを心がけよう
今や中国ではショッピングサイトの90%以上はモバイルからのアクセスです。極端ですがPCのアクセスを軽視してでもモバイルに特化した店舗作りをしてみてください。
商品画像素材
商品画像素材は大きいサイズの高解像度を使います。日本のショッピングサイトではモバイル向けのメイン画像には3:2の縦横比率が最適と言われていますが、タオバオ・T-Mallのメイン画像は縦横同じピクセル数の1:1が最適。700×700ピクセル以上の画像で拡大・縮小機能が使えます。
幅/高さ700~1200ピクセルの1:1比率の画像を最大5枚用意します。
もし、アパレルを販売する場合は5枚目に「白底図」というものが設定できます。白底図はAmazon.co.jpのように、白の背景にロゴマークも文字も一切入れない純粋な製品画像で、JPGファイルで800×800ピクセルの正方形、72dpiの解像度を1枚つけることができます。この画像をうまく用いると、タオバオのモバイルトップページや外部からのアクセスが得られます。
同じくアパレルを販売する際に、「宝貝長図」という画像を1枚設定すると、モバイル検索では優先的に表示されます。
こちらは480ピクセル以上の2:3比率の画像で、800×1200ピクセルが推奨されています。
商品説明画像1枚は、幅480~1242ピクセル、高さ1546ピクセルまでと規定されています。750ピクセル以上の高解像度画像を使うと効果的です。
商品検索対策
中国においても当然ながら検索からの流入がとても多いので、商品検索対策をしっかりと行います。
タオバオ・T-Mallでは商品タイトルは全角30文字まで入れることができ、その全ての文字が商品ワード検索となりますが、商品によっては検索画面を見ると最初の20~25文字しか露出しないので、顧客が求めるビッグキーワードはできるだけ最初のほうに入れると分かりやすいでしょう。
そして目的の商品へのページビューを上げるためには、PPC広告の「直通車」を使って有利な位置を獲得するべきでしょう。
特にモバイル検索においては、オーガニック検索の1位よりも「HOT」と表示がある直通車を使った広告で最高額を出稿したアイテムのほうが上に出ます。
しかし、旧正月前シーズンはみな商品をどんどん売りたいのですから、普段よりも広告出稿コストは上がります。
直通車では、PC/モバイルに出稿するのか、PCに出稿しないでモバイルだけで出稿するのか、どの地域のユーザーへ向けて出稿するのか(省単位で出稿の選択可能)、何曜日の何時から何時まで出稿するのか(特定の時間帯に出稿金額比率の増減変更可)など事細かく設定できます。
特にタオバオ・T-Mallでは人々が買物によく来て、よく売れるゴールデンタイムを狙うのが良いでしょう。ゴールデンタイムは若干の誤差はあるでしょうが、いちばん多いのは中国時間の夜7時半~11時頃まで。その他オフィスワーカーの休憩時間にあたる午前11時~午後1時頃、非オフィスワーカーが落ち着く時間の午後2時~5時頃あたりを狙うと良いでしょう。
上位表示サポートの営業(詐欺の可能性も)に注意
タオバオ・T-Mallを運営していると、いろんな営業メッセージが飛んできます。
その多くは、アクセス・商品のブックマーク数を人工的に作り出すことで、ランキングを上位に引き上げ、モバイルトップページに表示させるレベルまでサポートするので、提携(中国語で合作)しませんか?というメッセージ。
これらの営業に対し、店舗側の目的と合致しているか、費用対効果は合っているか、しっかりコミュニケーションを取り、決して即決で判断せず(得体の知れない詐欺業者が少なくないため)に慎重に判断して使うかどうかを決めてください。
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特別ライター:増山智明 氏
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