食品や薬品に対しては15%から13%へ、繊維品や電子機器等は25%から20%へ大幅な減税が行われます。
今回の減税は、これらの個人輸入や越境ECに大きく関わるということで、各方面から注目を集めています。
それでは、今回の減税の実施は中国にどのような影響をもたらすのでしょうか。中国各方面の専門家による4つの観点を紹介したいと思います。
1.直郵モデルの越境ECにとって、減税は大きな利点をもたらす
網経社Eコマース研究センター主任の曹磊は、減税は、国内の消費者の「消費昇級」という需要を満たし、かつ国内の「産業昇級」に大きな刺激を与える、と表明しています。直郵税の低下は、特に食品や繊維品、電子機器などの日用品では減税の振れ幅が大きいため、国内市場における需要拡大に刺激を与え、より多くの人が輸入品を消費するようになります。これに伴い、海外旅行客の持ち込みや、特に直接郵送モデルを採用しているC2C型の越境ECプラットフォームや売り手は、減税に伴いコストを下げることができ、大きな利点を享受することになります。より豊富な種類の商品がより好価格で販売されるようになり、C2Cの越境EC市場のさらなる発展に繋がります。国内で代表的なC2C型越境ECプラットフォームであるYMT(洋码头)のCEOである曾碧波は、この減税政策に対し、各々の輸入経路が均等に徴税されるようになり、越境ECがより開放的に改革を遂げていると、喜びの声をあげました。
2. 郵便物輸入税の低減は、異なる経路で輸入された商品の公平性を保つことに貢献する
網経社Eコマース研究センター特約研究院で、通拓科技グループの李鹏博は「個人携帯通関品への減税は、国家として進める減税のトレンドに適合しており、輸入品消費の増加を通じて国民経済の成長に刺激を与える」と述べています。その上で越境ECの税の調整と共に、今回の減税は、異なるチャネルで輸入された商品の公平性保持に繋がる、という見解を示しています。
公平性の保持とはどういうことなのでしょうか、もう少し掘り下げて説明いたします。そもそも直郵の経路と、越境ECの保税モデル経路は2つの別々の入国経路です。越境ECにおける越境総合税の減税は、片方にかかる税率が低く、相対的にもう片方(直郵便)の税率が高い状態を生み出していました。今回直郵便にも減税が行われたことで、これら2つの経路で輸入された商品が平等に減税されることになり、2つのチャネルの間に優劣がなくなったということを意味します。今回の減税がこの公平性の担保として、より多様な輸入チャネルの利用を可能にし、越境EC全体の活性化につながると期待されています。
3. 継続的な減税政策により、伝統的な輸入経路を利用している貿易企業を現代型のEC企業に転化させる
網経社Eコマース研究センター特約研究院で、寧波新東方工貿有限会社社長の朱秋城は、そもそも増値税や関税、消費税の混合税といえる郵便物輸入税が一般的な税よりも低いと、伝統的な貿易企業もいよいよ越境ECに乗り換えないと経営が難しくなる、という見解を示しています。政府は、連続的な減税を通じて、税政策は国民に減税による「得した感覚」を与え、大きな影響を見込めるものと認識しており、今後政府が継続的に税政策に踏み切ることを考えると、ますます貿易産業においてはECこそが未来のトレンドになるといえます。伝統的な貿易企業は、ビジネスモデルの革新が求められていると言えます。
4. 郵便物輸入税低減は、国内の越境ECに対する消費者の需要に合致している
網経社Eコマース研究センターの特約研究院で、海南職業技術学院経営学院の副教授である刘俊斌は、「今回の減税は、輸入品の価格が全体的に低下することを通じて、中国経済が世界経済と運命共同体となり、世界貿易の均衡をとることを推進する」という見方を示しています。輸入品の価格が世界経済の契機により強い影響を受けることになる一方、貿易を加速させてバランスを取ることが図られていると言えます。また、食品や医薬品などへの減税を通じて、中国国民のQOL(Quality of Life)の上昇に大きな貢献をしており、現在の消費需要に適合しており、需要の拡大を通じた越境ECの促進作用をもたらしているという見解もあります。
以上、4つの観点を示しましたが、どれを取るにしても、今回の直郵に対する減税は、中国の貿易産業全体、日本からの越境販売に大きな影響を与えると考えられます。
2019年の電商法の実行、増値税の引き下げ、そして今回の直郵税の引き下げ、中国ならのハイスピードで本格的に税制改革の姿勢を見せています。
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