「Red(中国名:小紅書/レッド)」は2013年にリリースされた中国発の口コミECアプリで、若い世代を中心に広く普及し、特に女性の間で支持を集めています。既存SNSと同じく、アプリで写真とショート動画を投稿してコメントを入れ、ユーザーの間に商品情報を共有したりすることはできます。2014年から、「Red(小紅書)」はアプリ内で直接商品を購入できる公式モールを設置し、中国最大の公式新聞「人民日報」に「インスタグラム」と「アマゾン」が一緒になったようなアプリです。2020年の調査によると「Red(小紅書)」のユーザーはすでに9000万を超え、中国国内におけるMAU(モンスリーアクティブユーザー)は、ほぼ3000万に達しました。注目すべきは、「Red(小紅書)」の女性利用者の割合は90%を占めており、アプリ内の人気トピックTOP3は「スキンケア」、「メイク」、「親子」となっています。利用者たちは主に購買力の高い北京、上海、広東など中国の大都市に集まり、25歳から35歳までのユーザーが半分以上を占めています。さらに、ホワイトカラーのエリート層が多いようです。つまり大半のユーザーが海外旅行や、より高価な商品を購入することができる富裕層で成り立っています。「Red(小紅書)」を利用すると、今の中国の女性たちがどのようなライフスタイルで、どんなブランドや商品に興味を持っているのかを把握できます。「Red(小紅書)」は開発段階からユーザー間のコミュニティーを重視して作られています。一般的なSNSにもみられる機能ですが、レッドのユーザーも情報検索、フォロー、コメント、いいねをすることができ、さらに女性たちが買い物をした商品の感想をシェアすることができるプラットフォームとなっています。
ユーザーは「Red(小紅書)」を通じて、美容品や美容機器に関する情報交換はもちろん、人気女優たちとも交流ができます。例えば、ファンビンビンのような中国人気女優たちが、どのような美容ルーティーンで、どんな美容商品を使っているのか、アプリ上のショート動画でシェアしたものをユーザーはチェックすることができます。ユーザーは手軽に女優の美容情報を手に入れるだけではなく、自らの疑問などを直接女優にコメントすることができ、関連商品が爆発的な注目を浴びてきました。結果的に、愛用品をシェアした女優たちは自らもその商品が買えなくなったほどです。「Red(小紅書)」は美容系の商品シェアだけでなく、高額で珍しい美容機器の使い心地や海外旅行先とホテルのオススメ情報も満載で、ユーザーコミュニティーと商品のプロモーション力の両方を兼ね備えた最高のアプリだといわれています。
2014年12月、「Red(小紅書)」はSNS/口コミサイトとしての機能のみだったところに、EC機能を追加し、これまでよりダイレクトにユーザーの購買意欲を刺激します。つまり、「Red(小紅書)」を使い、アプリ内の多くの商品を公式モールでの購買が可能になりました。そのため商品シェアの中で、より人気度が高い商品は、より多く購入されています。EC機能の実装により、ユーザーがRed(小紅書)で気になった商品を購入するために「タオバオ」などの他のECサイトへ移動する必要がなくなり、その場で購入することが実現しました。ECプラットフォームで買い物をする前に、Google検索などでその商品の情報収集をしているユーザーは少なくないと思います。「Red(小紅書)」はまさにそういったユーザーの特性に対応できるアプリだと認識されています。従来のテレビ広告、ECサイトのアマゾンやタオバオの商品説明欄と異なり、「Red(小紅書)」では利用者の直観的で、実用的な内容が多いと認識されています。ECとコミュニティーを密接に結びつけることは「Red(小紅書)」の特徴でもあります。ユーザーに商品に関する意見交換ができる環境を提供し、コンテンツから商品を選び、購入に至るまでを実現できるようになりました。人気女優であるファンビンビンまでも「Red(小紅書)」で自撮りの写真やショート動画で愛用品をオススメした後に商品が売り切れたことは十分にアプリの影響力を証明できるでしょう。
近年、「Red(小紅書)」は持続的なプロモーション効果を表現しています。ここで、「Red(小紅書)」の様々な宣伝方法から主な三つの戦略的なプロモーション手段をピックして紹介します。
1.俳優、KOLのお薦めで商品に価値付け
ユーザーの大多数は高級品を購入している「ホワイトカラー」の人たちで、「Red(小紅書)」の上質なコンテンツ提供に貢献しています。アプリのバックシステムもユーザーの閲覧履歴から趣味嗜好を分析して自動的に興味のありそうなコンテンツを表示し、読む人の購買意欲を喚起しています。特に、「Red(小紅書)」のコンテンツは20代の若者、特に大学卒業前後の人たちに注目されています。なぜなら、「Red(小紅書)」は素晴らしい女性になるガイドみたいな存在だと認知されているからです。普通の人よりファンシーな生活を送っている女優やKOL(キーオピニオンリーダー)たちが、実際に行なっている美容法と愛用品をシェアすることで、その商品への興味を惹き、著名人たちと同じ美容品がアプリ内で購入できるという体験は多くの若者女性たちに刺さり、2017年からの投稿数はすでに10億回に達しました。
一方、配信者がオピニオンリーダーとして時間や精力をかけ、他者にブランド品を購買や使用した経験と楽しい生活をシェアする理由もアイデンティティーと関連があるでしょう。アプリ上で不特定多数の人に自らのライフスタイルをシェアすることで、コメントとお気に入りを大量に集め、それが自己満足や承認欲求を満たしてくれるという側面もあります。
以上のようなコミュニティー環境に基づき、俳優やKOLたちが同時に商品プロモーションを行うと、予想以上のユーザー間の交流が生まれ、俳優とKOLの同時配信は「Red(小紅書)」でユーザーを引き寄せる効果的なプロモーション手段の一つになってきました。例えば、「Red(小紅書)」で1058万人のフォロワーを持っている、大人気の女優のリンユンはショート動画、あるいはライブで自分のナイトルーティンを配信します。写真や文章の静的訴求を超えた商品説明の形はよりダイナミックに商品の性能などを表現できています。さらに女優たちのライブ配信はメイク落としからスキンケアに使う美容品や美容機器、そして健康食品まで紹介します。こうして商品に多く付加価値を追加した後、多数のKOLに追い込みをかけるように商品を拡散していきます。それらの有名人たちに同じものの記事広告を同じ時期に配信することで、「Red(小紅書)」の利用者たちに対して、特定期間内に何度も同じ商品の広告を流すことが可能です。有名人たちのようなキレイな肌や高水準の生活スタイルを追い求めている若い女性利用者たちの視線を大量に集めてきました。さらに、「Red(小紅書)」の短編動画やライブのほとんどが女優たち自身が撮った映像のため、テレビなどのメディアを通すよりも親近感が湧きやすく、エンゲージメントの高いコンテンツだと言えます。記事や動画の中で、女優とKOLたちは商品を購入するルートから、使用方法やコツ、商品の使い心地まで細かいところの解説行なっています。従来の広告よりも詳細な情報をつけて配信できるため、ブランドへの認知度も深めることが可能になっています。最終的に、「Red(小紅書)」を通して宣伝した商品は爆発的な人気商品となり、商品のブランドと消費者の間で信頼を獲得し、その後のプロモーション効果はより高い目標設定を実現できると考えられます。
このプロモーション戦略の過程を簡単にまとめると、まずは、商品のターゲット層に関する分析に基づき、最適なコンテンツ内容を訴求する構想を練ります。また、商品と関連する話題が盛り上がっている時期や時間帯を判断して配信します。以上の動きを前提として整理した上で、俳優やKOLと連携してコンテンツ制作を開始します。そして俳優やKOL(有名人)をフォローするロイヤリティーの高いファンたちはすぐに有名人たちが発信したコンテンツの内容に興味を示しました。これで、紹介記事や動画の閲覧から購買までの時間を短縮しました。高品質の商品やコンテンツは、KOLにより多くの新たなフォロワーを引き寄せて、最終的には配信者と商品両方の価値向上を成立させています。
2.大勢のインフルエンサーが同時配信でSNSディスプレイを独占
もしある期間中、複数のインフルエンサーが同時に同じ商品に関するコンテンツを配信すれば、ユーザーの購買意欲を引き出すことは難しくはないでしょう。こちらも「Red(小紅書)」でよく使う主なプロモーション手段の一つです。インフルエンサーのフォロワー数が女優とKOLと比較して多くはないが、より多くのインフルエンサーを集めればユーザーに効果的な影響力を与えられると考えます。ここでの同時配信はそれぞれ自由に内容を編集し、一週間や1ヶ月以内にランダムで配信すればいいわけではありません。必ず五つの要素にしたがってプロモーション効果を最大限に実現できるように配信していくべきです。
一つ目は、コンテンツのテーマを設定します。インフルエンサーの属性によって多数の宣伝目標を設定させ、宣伝したい方向へ誘導します。さらに、多数のインフルエンサーをチームで分け、プロモーション過程の各段階の状況に適性の高いチームで配信していきます。
二つ目は、多数のSNSで同時配信。インフルエンサーが活躍しているプラットフォームはやはり「Red(小紅書)」だけではなく、中国で人気のSNS「Wechat」、「Weibo」などでもたくさんのフォロワーを持っています。なので、「Red(小紅書)」を先頭プラットフォームとして展開し始め、有効的にインフルエンサーのリソースを利用することはこのプロモーション戦略の重要な一環として行っています。
三つ目は、配信する文書の企画。普通の商品紹介文と比べて「Red(小紅書)」はユーザーの本当の使い心地や感想を表すことを重視しています。例えば、ニュースでもブランド品のコスメを具体的に紹介していますが、なぜ女性たちは「Red(小紅書)」でそのコスメに関する記事広告を調べて読んでるかというと、ニュースの文章全体はブランド品がどのように素敵なものなのかを形式的に説明します。専門用語も多く、聞く人に対してわかりにくく、非常に情報量と価値がが限られているものだと思えます。しかし、「Red(小紅書)」に載せている文章はすべてユーザー本人が書いたものなので、絶対的にブランド品を褒めるニュースと違い、利用者の目線からより客観的な態度で価値の高い商品評価を伝えています。商品のセールスポイントはもちろん、商品の欠点、さらにどのようにその欠点を避けて使用するのかも説明しているのは、消費者に対して理想的な記事広告だと思います。
四つ目は、インフルエンサーの個人的な魅力と商品特性を合わせて宣伝します。美容、ファッション、親子、美食、トレーニングなどインフルエンサーたちが様々な分野で活躍しています。当然、違う分野のインフルエンサーは違う長所や魅力を持っていて、その分野でもっとも優位性がであるインフルエンサーと商品の特性を結んでプロモーションすれば、より質の高いコンテンツでPR効果を向上できるようになります。
五つ目は、コンテンツの質を向上する手法は大きく五つあります。オリジナルの記事、素敵なトップページ画像、多数のタグ付け、検索されやすいキーワード選定、最後はコメントで読む人と積極的にコミュニケーションをとることで、いいねやお気に入りに追加されるデータを高めることに注力できれば良質のアカウントを運営し続けることが可能。
3.人気ブロガーの拡散威力を商業化に利用
上述の人気インフルエンサーやパワーブロガーのようにSNSの活用を通じて新たなビジネスが生まれることに影響を及ぼしています。おそらく「Red(小紅書)」での有名人はすでにインターネット時代の最先端のプランニングでアプリのビジネスパターン構築に作用してきました。ある分野の人気ブロガーの配信した商品体験に関する内容をユーザーが読み、コメントを通して配信者と、あるいは他の商品に深い関心を持つユーザーたちと一緒に商品に関する情報や疑問を交換できます。コメント欄も社交的な場となり、フォロワーと積極的に交流した配信者もこの密接な交流でファンの関係を持続できるようになりました。その「コミュニティー」としての強みは、「Red(小紅書)」のプラットフォーム開発初期からの注力ポイントの一つでした。テレビ広告より、「Red(小紅書)」がカバーしたユーザーは比較的に少ないかもしれないですが、コストはほぼなしで、質の高いコンテンツとコメント運営だけで、フォロワーは自発的に情報を拡散していく「Red(小紅書)」がマーケティング上の絶対優勢といえます。
最後に、「Red(小紅書)」での商品とネットショップに関するプロモーション実績を挙げて分析しようと思います。まずは、中国の消費者にも当時あまり知られていなった製品「NYSCPS歯磨き」です。最初に何人かの俳優に動画や記事広告で商品紹介したりユーザーにお薦めしたりします。俳優の登場で商品に付加価値を付けて信頼度を高めたあと、追いかけて何十人かのKOLに拡散してきました。KOLたちは自分なりの方式で多方面から商品のセールスポイントを考え、一定期間内にアプリのコンテンツ割合を占めることで、多くのユーザーの注目を一つの商品に集中させました。加えて、Wechatのモーメンツ、ニュースメディア、WeiboのミニブロガーなどSNSでも「NYSCPS歯磨き」の情報配信を行います。すなわち、その期間内にネット上のユーザーは「NYSCPS歯磨き」が何度も表示されるため自然と認知してしまう状況になります。結局、プロモーションの期間内、その歯磨きに関するコンテンツの閲覧数は1億を超え、数千万回のユーザーコミュニティーを実現しました。
単なる商品プロモーションだけではなく、マタニティー、旅行、ホテル、アパレル、オンラインとオフラインのショップはすべて「Red(小紅書)」のビジネスパターンで広報できます。ある店舗「Red(小紅書)」の宣伝方法で人気ショップとなってきました。そのショップで販売している商品はすべて日本の飲み物ですが、インフルエンサーを選定するときは美食、ファッション、旅行の属性を持っている有名人に絞りました。一方、化粧品などたくさんの専門的な説明で紹介できる商品と違い、そのショップの露出方式は商品説明だけではなく、インフルエンサーが一日のルーティンを紹介する間、ネットショッピングは一環としてショップを露出するのは非常に自然で、受け入りやすい宣伝手段もよく使われます。最終的には、「Red(小紅書)」の宣伝方法でそのショップの売り上げは10.8%も上げました。これから、スマートフォンが浸透したEC市場は大きく変わりつつあると思います。単なるマスメディアの方式で販売量を多く引き出すというだけでなく、「Red(小紅書)」のように人々のコミュニティーを通して興味関心を共有することで、中国のマーケティングに次々と新たなビジネスモデルを構築させることを期待しています。
より詳しい情報が必要な方、Red(小紅書)関連サービスよりお問い合わせください。
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