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中国独自AIサービス紹介

中国独自AIサービス紹介
近年、中国のAI技術は近年急速な進化を遂げており、現在では日常生活からビジネス、産業分野に至るまで幅広く活用されています。中国はAI技術を国家戦略として推進し、政府の規制のもと独自の発展を遂げています。本記事では、特に注目される中国のAIアプリケーションを取り上げ、日本のAIツールとの比較も少し交えつつその最新トレンドを見ていきます。

一、総合型AIアプリケーション
▶︎百度文心一言(Wenxinyiyan):中国初のGPT型AIで、強力なテキスト生成と理解能力を持ち、リアルタイムのネット検索に対応。最新バージョン「文心一言4.0」とプロフェッショナル版も発表され、さらに機能が強化されています。
→ 日本で注目されるChatGPTやBERTといった大規模言語モデルとの比較が可能で、多機能性や日本語対応の拡充が期待されています。

▶︎阿里通義千問(Tongyiqianwen):阿里クラウドの大規模な汎用AIモデルで、生活や仕事の強力なAIアシスタントとして開発されました。2.0バージョンはパラメーター規模が千億に達し、多分野での応用能力が向上しています。
→ 日本ではAIアシスタントとしてSiriやAlexaが普及していますが、業務支援と日常支援の両方に柔軟に対応する機能があることが特徴です。

▶︎Huawei盤古大モデル(Pangu)
自然言語処理や視覚、多モーダル、予測、科学計算などを扱うAIモデルで、金融、製造、薬品開発、石炭産業、鉄道など、さまざまな業界において実績を上げています。特に日本の製造や研究分野でもAIモデルの導入が進んでおり、各産業分野での応用が日本でも注目されています。

▶︎テンセント混元AI(Hunyuan AI):企業向けに多くのサービスを提供し、同社の各種SaaS製品(WeChat、テンセント会議など)に接続されています。また、テンセントは複数のAIスタートアップに投資し、AI技術の普及を加速しています。
→ 日本でもAIモデルの活用は進んでおり、日本IBMやNECが提供するAIソリューションが幅広い分野で使われていますが、中国のように大規模なAIモデルの発展速度はやや遅れを取っています。

▶︎科大訊飛星火(iFlytek):総合的な知識と言語理解能力を持つ大規模AIモデルで、テキストチャット、AIイラスト、文書読解、コードアシストなど多機能に対応しています。

二、検索型AIアプリケーション
▶︎百度検索パートナー(chat.baidu):中国最大の検索エンジンである百度(Baidu)の強力な検索エンジンと知識ベースを基盤に、正確かつ包括的な情報検索サービスを提供します。

▶︎秘塔AI検索(metaso):広告のないシンプルな検索が特徴で、検索結果を分類・要約し、マインドマップの形で視覚的に表示します。結果をPPT形式に変換する機能や4つの検索範囲設定も備えています。

三、質問応答型AIアプリケーション
▶︎知乎直答(zhida.zhihu):テキストベースのチャットやQ&A形式で、ユーザーの質問に迅速かつわかりやすい情報を応答します。

▶︎深度求索(DeepSeek):インテリジェントなカスタマーサポート、データ分析、レコメンド、意思決定支援など幅広い分野で利用されており、特に中国語処理に優れています。

四、AIイラスト生成アプリケーション
▶︎抖音(Douyin)既梦AI(Jimeng)は、中国のAI技術プラットフォームで、特に教育やビジネス分野での応用が注目される多機能AIツールです。既夢AIは、自然言語処理、画像処理、音声認識など、多様なモジュールを統合しており、企業や個人がAI機能を活用できるようにするためのAPIやSDKを提供しています。これにより、ユーザーは自社のサービスやアプリケーションにAI機能を柔軟に組み込むことができます。

▶︎百度文心一格(yige.baidu):百度文心一格は、膨大な芸術データを学習し、独自のスタイルを持つ芸術作品を生成できます。背景変更、アート文字デザイン、画像リサイズ、修正、画像解像度向上など、多彩な機能を備えたイラスト作成ツールです。

▶︎阿里通義万相(tongyi.aliyun):百度文心一格と類似のAIイラスト生成機能を提供しており、現在完全無料で利用できます。
→ 日本でもAIを用いた芸術創作が注目されており、楽天のAIアート生成プロジェクトや、NHKのAI音楽プロジェクトなどが行われています。しかし、文化遺産の保存や再現におけるAIの活用において、中国のように具体的な成果は限定的です。

五、AIオフィスアプリケーション
▶︎金山WPSAI:文書の内容を自動認識し、理解・処理を行うことで業務効率を向上させます。
→ 日本でもGoogleドキュメントのようにAIを使って要約機能や文章校正が行えるツールがあります。

▶︎ChatExcel:北京大学深圳大学院のチームが開発し、チャット形式でExcelを操作できるため、データ処理を簡便化します。

六、コード生成アプリケーション
▶︎字節MarsCode:迅速なコード生成をサポートし、開発者の生産性向上に貢献しています。

▶︎智譜AICodeGeeX:高品質なコード生成ツールで、大規模AIモデルを基盤に開発されています。

七、クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングはAI技術を支える重要な基盤として、中国のAI分野において重要な役割を担っています。代表的な企業として阿里雲と百度智能雲が挙げられます。
▶︎阿里雲(Aliyun):阿里雲は大規模なAIモデルのエコシステムと実装プラットフォームを提供しており、APIの一日当たりのコール数は既に1億を超え、9万社の企業が利用しています。さらに、阿里雲の開源モデル「通義」は、700万回以上ダウンロードされ、エコシステムの発展を加速しています。

▶︎百度智能雲(Baiduyun):百度の強力な検索エンジン技術を基盤とした百度智能雲は、独自の大規模モデル「文心」を用いて、宇宙開発、農業、製造業など多岐にわたる分野で成果を上げています。
日本でもクラウドAIサービスは成長中で、特にNTTデータのクラウドAIやソニーのAI技術が注目されています。NTTデータのAIサービスは、データの管理や分析に強みがあり、製造業などに多く利用されていますが、中国の阿里雲や百度のように大規模モデルの提供はまだ発展途上です。

八、その他の革新アプリケーション
▶︎抖音豆包(Doubao):チャットボット、文章生成アシスタント、英語学習アシスタントなどの多機能を統合し、ユーザーとの自然な対話ができる点が特徴です。

▶︎紫東太初(taichu):中国科学院自動化研究所のAIプラットフォームで、視覚、テキスト、音声など複数のモードを統合し、様々な産業で広く利用されています。

▶︎書生大モデル(intern-ai:上海AIラボによるプロジェクトで、視覚、言語、3D要素を組み合わせ、多様なタスクに対応する強力な処理能力を備えています。

これらは中国の主流AIアプリケーションの一部にすぎません。技術の進展と共に応用範囲も拡大し続け、将来的にはさらに多くの革新的なAI応用が登場し、人々の生活や仕事を大きく変えるとともに、社会経済の発展を促進するように、AI技術が国家戦略として推進されている点が特徴です。中国のAI技術は多岐にわたる産業で応用され、特に業界向けの大規模モデルが強力です。

一方、日本では中小企業を中心にAI導入が進んでおり、特定の業界やニッチな分野での活用が進んでいます。日本のAIツールは日常的な業務支援に焦点を当て、シンプルで使いやすいという特長があります。両国のアプローチは異なりますが、それぞれの強みを活かして、今後さらに技術が発展していくことが期待されます。

 

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