中国発のショートドラマが、過去数年で急速に国際市場に進出し、大きな注目を集めています。主要な潮流としては、北米・東南アジアでの爆発的な人気、新興市場への進出拡大、プレイヤー間の激しい競争など、多様な特徴が見られる。本文では、この急成長する中国発ショートドラマの海外展開の実態について情報共有します。

ショットドラマとは？
TikTokのようなショート動画とは異なり、ドラマ仕立てで1話1～2分程度の短い動画コンテンツです。

▶︎急成長するショートドラマ市場とその可能性
2024年上半期、中国ショートの海外市場での収益は急成長を遂げ、2.3億ドルを突破しました。年間では4億ドルに達すると予想されています。

収益の50%以上は北米市場からのもので、特にアメリカが主要な貢献国です。
一方、東南アジアでは文化的な類似性が背景となり、ダウンロード数が急増し、地域市場でのシェアを迅速に拡大しています。さらに、新たに日本や韓国、欧州への進出が進み、これらの地域が収益全体の約20%を占めるまでに至っています。

→ ショートドラマが人気の理由
中国でショートドラマがこれほどまでに人気を集めている理由は、以下の点が挙げられます。
●手軽に見られる: 1話1～2分程度なので、スキマ時間に気軽に視聴できる点が魅力です。
●テンポが良い: 起承転結がはっきりしており、無駄なくテンポよくストーリーが展開されます。
●共感しやすい: 日常生活を切り取ったような relatable な内容が多く、視聴者は登場人物に感情移入しやすいです。
●広告と感じさせない自然な宣伝: ストーリーの中に自然に商品やサービスを溶け込ませることで、視聴者に広告と感じさせずに購買意欲を高めることができます。

→ ショートドラマのビジネス活用
ショートドラマは、企業のプロモーションに活用することで、以下のような効果が期待できます。
●ブランド認知度向上: 多くの視聴者にブランドや商品を認知させることができます。
●購買意欲向上: ストーリーを通じて商品やサービスの魅力を伝えることで、視聴者の購買意欲を高めることができます。
●販売促進: 商品やサービスの購入を促すことができます。

▶︎市場の動向と競争の激化
◉主要プレイヤーの台頭
「DramaBox」「ReelShort」「ShortMax」が市場の収益とダウンロード数の80%以上を占めています。それぞれ異なる戦略で市場を拡大しており、特にDramaBoxは吹替ドラマを武器に日本などの新興市場で成功を収めています。

◉広告と宣伝の重要性
ショートドラマの配信プラットフォームは、Meta（Facebook/Instagram）系広告を主軸に、TikTokなど多様なチャネルへの広告投資を強化しています。2024年には、広告出稿が「軍備競争」ともいえる規模に達しており、プラットフォーム間の競争が激化しています。

▶︎収益モデルとマーケティング戦略
ショートの収益モデルは、「単話購入」や「広告埋め込み」が中心で、地域ごとに異なる戦略が取られています。
・北米・中東市場: サブスクリプションモデルが主流。
・日本・東南アジア市場: 単話購入モデルが優勢で、割引キャンペーンが効果的とされています。
マーケティング面では、Meta系プラットフォームが主要な宣伝チャネルであり、TikTokも急成長しています。素材制作においては、ショートの内容を強調した編集やクリエイティブなコピーが成功の鍵となっています。
また、AIを活用した翻訳やターゲティング広告が競争力を高めています。

▶︎ユーザー層の特性
視聴者層の大部分を占めるのは、30歳前後の若年層で、特に女性がメインターゲットです。人気のテーマには「禁断の愛」「一目惚れ」「復讐劇」などがあり、これらは女性視聴者の間で特に人気があります。

一方で、男性向けコンテンツの需要も増加傾向にあり、ファンタジーやアクション要素を含むドラマが注目されています。このようなコンテンツの多様化が、視聴者層の拡大に寄与しています。

▶︎ビジネスモデルと今後の課題
ショートドラマのビジネスモデルは「単発課金＋広告収益」が主流で、サブスクリプションモデルが補完的に利用されています。しかし、ショート市場の拡大に伴い、以下の課題が浮上しています。
・脚本不足: 高品質な翻訳およびオリジナル脚本の確保が急務となります。
・競争激化: 頭打ちとなりつつある既存市場での差別化が求められています。
・地域ごとの法規制: 各市場の文化的・法的要件への適応が重要です。
一方で、アフリカ、ラテンアメリカ、中東といった未開拓市場は、新たな成長の可能性を秘めています。また、AIやビッグデータを活用したユーザー行動の分析が、今後のマーケティング戦略の精度向上に繋がると期待されています。
将来的には、広告の埋め込みやコンテンツのさらなる本地化（ローカライズ）が収益拡大の鍵になると考えられています。

▶︎まとめと展望
中国ショートの海外展開は、急速に市場を拡大しています。

アメリカや東南アジアに加え、日本やヨーロッパ、中東、ラテンアメリカ市場が新たな成長の舞台となるでしょう。多様な視聴者層への対応や新市場の開拓により、さらなる成長が見込まれています。
一方で、脚本の質や競争戦略、ローカライズの精度が成功の鍵を握るでしょう。グローバル市場での成功を収めるためには、創造的なコンテンツ開発と文化的背景への適応が不可欠です。コンテンツの質と現地ニーズに合わせたマーケティング戦略が、今後の成功の鍵となります。