本当にそうなのでしょうか?実際に日本企業の中でもインフルエンサー起用により爆発的に売上を伸ばしているところもあるのは事実です。しかも継続的に。では、うまくいっている企業とそうでない企業、何が違うのでしょうか?
もしあなたの中国プロモーション・PRがお世辞にもうまくいっていないと言うのであれば、「何か他に新しい施策はないか」と求められる前に、これまでのインフルエンサー起用、プロモーション・PRの方法が本当に適切であったか、今一度見直してみることをお勧めいたします。
この記事では、中国インフルエンサー(KOL)マーケティングのための、基本的な指南となる事柄を述べていきたいと思います。
そもそもインフルエンサー(KOL)とは?
「有名人やスポーツ選手、有名ブロガーのような、自身のブログやSNS、メディアへの露出などで商品やサービスを紹介することで、大多数の消費者に大きな影響力を発揮するキーパーソン。」(引用:Markezineより)
従来の一般的な広告がほとんど信用されない中国では、インフルエンサー広告は絶大な効果を発揮します。情報発信者が比較的身近な存在であるため、または身近に感じさせるような情報発信のスタイルをとるため、受信者側は共感しやすくなり効果が高まります。例えば、张大奕(ジャンダーイー)という中国の女性モデルは広告主からも消費者からも人気のインフルエンサーですが、2時間のライブ配信で41万人のユーザーが視聴、いいね数も100万を超え、その結果、わずか2時間で紐づいていたタオバオ商品の売上が2000万元(約3億円)を超えたという実績も持っています。
このような輝かしい実績は中国インフルエンサー業界にはゴロゴロと存在し、それにも関わらず、なぜ実際に彼らを起用してみた日本企業では、「費用対効果が低い」や「短期間効果しかない」等と言った感想が出てくるのでしょうか?
中国インフルエンサー(KOL)起用にかかる費用が高すぎる問題
中国現地の企業が直接インフルエンサー(KOL)をブッキングし、プロモーションプランを実施していくのに比べ、日本企業が同じことを直接契約でやるのはほぼ不可能であり、ほとんどの場合が多くの中間業者を通し、手間のかかる説明を何度もし、そしてコストもかさんでいく形でやっと企画が成立します。
【現状のインフルエンサー活用の商流】
※%は各社中間業者のマージンを表しています。
日本企業(広告主)
↑↑
日本の広告代理店+30%〜(2197万円)
↑↑
日本の日中間コンサルティング企業(場合によっては2社)+30%〜(1690万円)
↑↑
中国現地の広告代理店+30%〜(1300万円)
↑↑
中国現地のインフルエンサー個人・プロダクション(1000万円)
上記のような商流が一般的で、さかのぼっていくと各段階で無用な中間マージンをとられてしまい、広告料金がどうしても割高になってしまいます。
また、大手広告代理店などが間に入ることで、通常の5倍以上の価格となってしまっている広告メニューなども存在しています。ちなみにそれは現在でも取り扱いされている有名なインフルエンサーの広告メニューです。確かに広告効果はあるものの、値段が吊り上げられすぎて、割に合わないという結果を招いてしまっているのが事実なのです。
このような話を聞くと、では理想的な流れとはこうであろうという予想がつきますよね。そうです。下記のとおりです。
【理想なインフルエンサー活用の商流】
日本企業(広告主)
↑↑
日本の日中間コンサルティング企業(1社のみ)
↑↑
中国現地のインフルエンサー個人・プロダクション
中国でのマーケティングとなった瞬間に「初心」を忘れがちになる傾向
日本のビジネスパーソンは非常に賢明で、マーケティング知識や実経験に富んだ方々がたくさんいます。ターゲティングやメディアプランニングなど様々な手法に精通しており実際に行動に移せる担当者が非常に多いのも事実です。しかしながら、中国に向けたプロモーションをする際に、なぜかこの経験や知識がすっぽり置き去りになってしまっているように思えてならないのです。「中国ならとにかく出せば売れる」という発想になってしまう方が非常に多くなり、また「’’中国人’’に対してはこう広告するのが良い」といったような中国人消費者をなぜかザックリとヒト括りにされてしまう傾向があります。日本よりも広く、日本よりも人口が多く、日本よりも他民族な国家であるにも関わらず、’’中国人’’というヒト括りでターゲティングされるのです。結果、基礎中の基礎であるペルソナの設定や正確なターゲッティング、商品のポジショニングすらも完全に忘れ去られてしまっているのです。
こんな話がありました。先日、某大手企業のマーケティングご担当者の方が中国向けに育児アプリを展開したいとのことで、弊社にご相談に来られました。ご相談に来られるということは、「これから中国マーケティングをスタートさせるフェーズ」か、あるいは「これまでやってきたがうまくいっていない」かの2パターンになるわけですが、この方の場合は後者でした。どのような施策をやってきたかとお聞きすると、とある著名なインフルエンサーにSNS等を活用して拡散を依頼していたそうです。結果、PV数は上々、悪くはなく雰囲気もイクメンという感じで良かったのですが、よくよく話を聞いてみると当のインフルエンサーが抱えているファン層は、実は未婚者の若年層が多かったのです。結局、効果はかなり微妙なものとなったそうです。有名人だから使うのではなく、そのインフルエンサーが抱えるファンやユーザーの属性をしっかり調査し、さらには彼・彼女がファンに対してどのような印象をもたれているか、どのような情報を普段流しているか、どのような関わり方を普段しているか、という細かい部分まで突き詰めていく必要があります。日本では基本としてやっていることを中国に行くとおろそかになるというのは、非常にもったいないことです。
見込み客の’’受け皿’’の構築が甘い
当ブログを運営する弊社クリップスでは、中国ビジネスに関して、毎週多くのお問い合わせを頂いておりますが、インフルエンサー(KOL)を起用したプロモーションについて、ピンポイントでご依頼して来られる企業様も多くいらっしゃいます。しかしながら、「プロモーションどんどんしていこう!」という姿勢は素晴らしいのですが、集めた見込み客をプールしておく’’受け皿’’が未熟なままの企業様も実に多いのです。
ご存知の通り、プロモーション行為には大別して2つの目的があります。
一つ目はブランディングを目的としたプロモーション。商品の知名度や企業イメージを上げるための行為であり、一般的に日本では大手企業などがTVCFやマスメディアを使ってやるものですね。
もう一つは売上数字を意識してコンバージョンを狙っていくプロモーションです。早急に成果が求められる中小企業やベンチャー企業では、まずこれのみにフォーカスしてプロモーション活動をやっていくケースが多いです。費用対効果がわかりやすく求められます。
さて、’’受け皿’’の話に戻りますが、特に二つ目の「コンバージョンを意識したプロモーション」には、見込み客を誘導しプールしておく受け皿の構築が非常に重要です。例えば、とある企業様の日本のECサイトを中国企業に知ってもらいたいという案件がありました。当時かなり強力なインフルエンサーを起用していたようですが、1時間のライブ配信でその日本のECサイトに登録したユーザー数はたったの30名。さらにそのECサイトのリピーターとなったのはわずかに3~4名という散々たる結果だったそうです。(※弊社案件ではありません^^;)。それはそうですよね、日本国内のサイトに中国人ユーザーを呼び込むとなると、言葉の壁はさることながら、政府によるアクセス規制の問題、さらには中国人消費者向けに全く最適化されていない日本国内用のコンテンツでは、コンバージョンなんて量産されるわけもありません。これは極端な例ですが、このようなことを気づかぬうちに平気でやっているのが今の日本企業の対中マーケティング戦略なのです。。逆に、この受け皿をECサイトではなく、中国で人気のチャットツール「Wechat」の公式アカウントであったならどうだったでしょうか?ファン登録は至ってシンプルですし、おそらく登録数は10倍にも20倍にもなったはずです。しかも、このような見込み客ファンをWechatという非常に整備されたコミュニケーションインフラで囲い込むことで、継続的にファンとの接点を作っていくことができます。流したコンテンツはさらに拡散される可能性もあり、顧客が顧客を連れて来る仕組みが揃っています。結局のところ、プロモーションツールがなんであれ、PRアイコンが誰であれ、見込み顧客をプールする’’受け皿’’というのは非常に重要になってくるわけです。
2017年も1ヶ月が経ちましたが、弊社へのご相談件数やその内容から見て、明らかに昨年より日本企業様の中国インフルエンサー(KOL)に対するご期待や注目が際立ってきているように感じます。特に生放送アプリなどを活用したライブ配信のKOL広告手法は強い興味の的であるように思えます。正しいインフルエンサーマーケティングを行い、継続性の高い中国進出をやっていきたいものですね。
弊社クリップスでは中国インフルエンサー(KOL)専門のマーケティングサービスを行っております。WechatやWeiboと連動した継続的に効果の高いマーケティング戦略にご興味のある方はお問い合わせ下さい。
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