中国で頻繁に実施されるキャンペーンとは?
価格キャンペーン
圧倒的な割引価格を前面に打ち出したキャンペーンは中国では主流で、単なる値引きではなく、売り手である企業がその後の販売促進のためにある一定期間において製品の価格を大幅に値引き、販売をしていきます。時には原価割れでの販売をすることもあります。自動車業界はこの手のキャンペーンを頻繁に行っています。
【メリット】
キャンペーン効果がすぐに現れます。短期間で売上アップを期待できます。とにかく数量を買わせることでかえって顧客単価をアップさせることができることも。消費者に非常に大きなインパクトを与えることができます。
【デメリット】
長期的な売上アップにはつながりにくく、マーケティングの根本的な課題解決にはつながりません。また値下げ合戦になることもしばしばで、その後価格を戻すことが難しくなる場合もあります。もちろんですが利益が出にくくなり、この手のキャンペーンを多用することでブランドイメージには基本的には良い影響を与えません。消費者のロイヤリティも下がる傾向にあります。また偽物が出回りやすくなることもあります。
価格キャンペーンが実施されるのは、主に年末年始です。またはメーカーや総代理店が販社に対して適用することがよくあります。
キャッシュバックキャンペーン
キャッシュバックをすることによりお得感を与えるキャンペーンもよく使われます。上記価格キャンペーンと似て非なるものとして捕らえて頂きたいのですが、見せ方としてキャッシュバックにすることのメリットは大きいです。
【メリット】
新規顧客の集客に効果的で、上記価格キャンペーンに比べるとブランドに与える影響が比較的小さくなる傾向にあります。顧客情報を集めることもできます。競合他社との価格競争になることがあまりありません。
【デメリット】
消費者に対してあまり大きなインパクトとならないことが多いです。実施の際の消費者の反応を予測することが難しく予算組みが困難になるケースがよくあります。
記念日キャンペーン
祝日や記念日などを活用したキャンペーンを行い、集客していきます。
【メリット】
祝日や記念日などをピンポイントで確実に消費者を惹きつけることができます。消費者の反応も良好になるケースが多いです。
【デメリット】
限られたタイミングでしか実施を行えず、長期的な戦略に与える影響は大きくありません。
記念日キャンペーンは、日によっては集中的で急激なプロモーション力があり影響力があり、突発性、規模性などの特徴があります。
奨励キャンペーン
抽選やインタラクティブな方法での消費者の参加を促すキャンペーンも多く実施されています。
【メリット】
消費者参加型となるため、方法によってはブランドイメージをアップさせることに役立ちます。特定の消費者層にターゲティングしやすいのこの手法の特徴です。また消費者の製品への興味付けにも非常に効果的です。
【デメリット】
この手のキャンペーンも頻繁に実施されるようにになってきているため参加率が低くなってきている傾向にあります。また参加者が直接的な製品ターゲットと合致するとは限りません。キャンペーンを通した直接的な販売ではないケースが多くなるため、売上直結というほどの効果は期待できません。
外部のニュースや話題にあわせたキャンペーン
直近の時事ネタや芸能ニュース等と絡めた話題作りをし、キャンペーン実施する方法です。これも日本でもよくありますが、中国でもなされることが多くあります。例えば、中国で薛之謙という有名なタレントがいますが、彼が「世界平和」という言葉を多用しており、これが以前にネット上で空前のブームとなりました。多くの企業はこれに便乗し自社製品のプロモーションに活用していました。薛之謙氏の「世界平和」のTシャツや雑貨などがよく売れていました。中国人消費者にとってキャッチーなネタとは何なのか、常にアンテナを立てていると、このような方法は即効せいがあります。
臨界点キャンペーン
先述の価格キャンペーンに重なる部分もありますが、こちらも見せ方の議論となります。「臨界点」という言葉が重要でこれは「限界ギリギリ」という意味でこの言葉は非常にパワフルです。ダブル11の際、多くのECショップは大規模な臨界点キャンペーンを行います。「ネット最安」と詠ったり、「最大80%OFF」などと宣伝していきます。
事前告知によるキャンペーン
米国Apple社などが多用するやり方ですが、発売日を明言し消費者の気持ちを高揚させます。待ち遠しい気持ちが購買意欲を増すことにつながります。中国ではスマホブランドの中国スマホブランド小米の限定販売キャンペーンが有名です。
企業が予め提示するキャンペーン
企業が予め提示しておくことで定例イベントとして行うキャンペーンです。例えばTmallではファッション分野において予め「3月には春夏物を8月には秋冬物のセールをし、また6月18日に1つ大きなキャンペーンを実施し、また最も大規模なフェスティバルを11月(ダブル11)にする」ということで定例化されており、確実な集客に結び付けています。
シーズンキャンペーン
季節を利用したキャンペーンです。2016年6月の夏前、京東(JD)は冬用ダウンジャケットの販売をアンチシーズンセールとして実施し、多くの顧客を集めたことは有名です。
フラッシュキャンペーン
いわゆるフラッシュマーケティングも中国では多用されています。「今日だけ」「今から24時間限定」など、消費者をリアルタイムに巻き込んでいきます。
例えば、タオバオの定期セールイベント「聚划算」では、毎日10時から「団購」(団体購入、みんなで一緒に買う)形で、普段より安い値段で特定の商品を購入できる仕組みを設けています。
おまけを活用したキャンペーン
おまけを活用したキャンペーンは中国では古くから用いられている手法で現在も消費者ウケが良いことが多いです。読んで字のごとくですが、商品購入と一緒におまけをプレゼントするやり方です。
【メリット】
他社との差別化を図ることができ集客力をあげることができます。おまけ商品そのものがブランド強化となることもあります。新規顧客が商品を試してくれる機会になり得ることも。
【デメリット】
おまけの内容によっては逆効果になりかねません。もちろん、おまけにはコストがかかりますのでこれもデメリット。おまけが何かしらのグッズだったりする場合は、そのデザインが重要になり、デザイン性の乏しいものは逆効果になります。また、そのおまけが消費者に受け入れられるかは予測しにくいところがネックです。中間卸業者や代理店はあまり大きいおまけはかさばるため嫌がる傾向にあります。
もともと対象の商品がよく売れる季節に実施するか、新製品発売時によく実施されるケースが多いです。おまけ商品は大体本製品の価値の2%~10%で抑えます。データによるとキャンペーンで上がった利益はキャンペーンコストの2倍ぐらいになるべきです。
商品指定やターゲット指定によるキャンペーン
単一の商品を決めうちで安く販売したり、特定の条件(例えば20代女性既婚者のみ等)下にある消費者にのみ割引を適用するキャンペーンもよく実施されます。
セット売りキャンペーン
商品をセット売りして実施するキャンペーンです。
【メリット】
売上は増加傾向になることが多いです。決済が比較的シンプルに済みます。まだシリーズ全品を販売することが出来ます。
【デメリット】
利益は比較的低くなる傾向にあります。サービスに対して要求が高いです。
企業の周年記念イベントや年末イベントによく実施される手法です。
中国ECでキャンペーンを実施する際のポイント
以上が、中国で頻繁に実施されるキャンペーンで、こうやってみてみるとそれほど日本と変らないという印象を受けます。しかしながら、中国では日本以上にキャンペーンやセールに対する意識が強く、その効果は大きい風に感じます。EC業界でも競争が激化する中、どのように合理的にキャンペーン戦略を立て実施していくかは企業及び店舗の課題です。また戦略策定の際に、顧客心理をしっかりと分析することも重要になってきます。
【1】商品情報の真実度、実物の質を重視しています。このブログでも何度も言っていることですが、中国人消費者はECサイトで買い物をする時、商品情報の真実性を非常に重視します。商品が本物か、実用的か、質は良いか、このあたりが常に意識されています。これに応える策として、商品紹介ページには、「丈夫」「耐久性」などの字句を使い、具体的な表現を多数を挙げ、顧客の懐疑心を払拭していくことが重要です。
【2】中国人消費者は一般的にみても、新しい物が非常に好きです。新商品や新しいイベントには日本人以上に敏感なところがあります。これを刺激する策として「ファッション性」や「ユニークさ」などを強調し、商品画像、イメージ画像を鮮やかに見せていくことが重要です。
【3】有名な物、流行物が好きで、見せびらかしたり周りにアピールしたがる傾向をうまくとらえる。ブランド物を購入する理由の1つとなり、これを逆手にとって、対象商品の「見せびらかすポイント」を見つけて、商品ページで羅列していくことも効果的です。
【4】常にお得感が求められます。いつでも消費者は買い物する時に良いものを安く買いたいものです。ただ安いだけをアピールするのではなく、顧客がお得に感じる見せ方をすることが重要です。
【5】限定に対する反応は確かなものです。商品に限定性をつけることで購入を促すことも重要です。量産できる商品でも限定性を持たせることは可能です。分かりやすい事例としては、日本のマンション分譲業界などが良い例です。第一期募集、第二期募集などと小分けにすることで限定性が生まれます。本当は量産できるにも関わらず。
【6】群集心理をうまく理解することは武器になります。特に中国人は賑やかな雰囲気が好きです。ショッピングも例外ではなく買う人が多ければ、良い商品と思われ、買いたくなる傾向にあります。日本人消費者を相手にする時以上にこの概念は役に立ちます。Tmallなどでも販売数メーターが付いていますが、販売量をリアルタイムに数字で明確にすることにより人気商品であることをアピールしていきます。
【7】安全性が非常に価値になります。特に家電製品に対しては安全性が価値となります。親切丁寧に「安全性」「体に優しい」「権威機関の検証済み」などの言葉を入れると効果的です。
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