偽物商品流通阻止のための4つの対策
今回の発表では、タオバオグローバルは偽物商品に対抗する具体的な4つの対策を講じています。それらの対策では、企業の参入規制の強化、店舗運営における新たなルール、物流透明化施策など、あらゆる角度から不法販売を厳しく取り締まる姿勢を示しています。タオバオグローバルでは商品の多様性を高めると同時に、今後益々、偽物商品を厳格に取り締まり消費者の利益を守る仕組み作りが加速していきそうです。
さて、冒頭で述べた4つの具体的な対策を以下に紹介したいと思います。
【1】取り扱われる商品を、仕入れ地や出荷地など複数の項目により、6種類の商品カテゴリに大別されることになります。さらにそこから細分化にし、すべての商品種類に適応した管理体制が設けられます。
【2】化粧品、食品などに関しては、ショップで商品公開をする前に、ショップ側(バイヤー)がレシートなどの購入証明をアップロードしなければならないルールとなります。保税モデルによる輸入商品、一般貿易による輸入商品に関しては、ショップ側がタオバオ運営側に対して通関証明を提示するルールとなります。これに対しTaobao運営側では専門チームを立てこれの審査にあたることになります。
【3】タオバオグローバルでは現在、海外直郵プラットフォームの構築を進めています。このプラットフォームでは、タオバオと海外企業の間で「海外直郵サービス」の提携がなされた海外企業に対して、当企業の商品は直郵プラットフォームを通じて出荷され予め指定された物流業者が利用されます。そうすることでタオバオ側と当企業側でデータを共有し、全球購プラットフォームでの物流記録が管理され偽物商品の拡散が防げるという仕組みです。現在、このプロジェクトはテスト運用中です。
【4】今後、バイヤーライブチャンネル機能がより推進されていきます。ショップ側はバイヤーライブチャンネルを通して、取り扱い商品の仕入れ過程を淘宝全球購のユーザー(消費者)に伝えることが出来ます。淘宝全球購のユーザー(消費者)はバイヤーがどのように商品を仕入れてきたか、その過程を知ることが出来ます。
同時に、タオバオグローバルは企業の参入規制を強化しました。過去に重大な法規違反、偽物販売などの行為が存在しないこと、国の法規とプラットフォームの参入基準に反していないかなど、より偽物商品が出回りにくい体制が整えられ、今後もさらに整備されていく見通しです。
偽物業者検挙次々と。徐々に越境ECクリーン化が進む
また今回の発表によると、2016年、Taobaoプラットフォームを運営するアリババ社は公安警察と協力し、偽物商品取り扱いに対する取締りを強化、469件を検挙し容疑者880名が逮捕されました。これにより偽物商品の在庫拠点1419箇所が一掃されたのです。これらの被害総額は推定で約30.67億元(約490億円)と報告されています。
ひと昔前までは、偽物商品と言えば中国国内で生産され海外で販売されるケースが多かったのですが、最近は逆で、海外工場で生産され中国国内で販売されることが多くなってきています。これは非常に厄介なことで、海外では国によっては独自の法律・規制などの関係で、偽物商品の生産工場の取締りが極めて困難になってきます。中国国内までは追跡できるものの、海外にまでは及ばないと言ったところです。
2016年6月、中国公安警察はアリババ社の協力を経て、世界的に拡散する自動車用潤滑油の偽物事案の捜査に乗り出しました。この偽物の潤滑油はマレーシアで生産、パッケージングされ、広東や義烏などを経由して中国各地に出回っていました。浙江省、広東省で容疑者11名が逮捕され、広東番禹区、天河区、金華義烏の倉庫を摘発。偽のモービル社製、シェル社製、カストロール社製などのブランド潤滑油が大量に作られていたのです。
この事案では結果的に、中国公安部国際協力局やフランスに拠点を置くICPO(国際刑事警察機構)を通じてマレーシア政府に協力要請をし、偽潤滑油の生産メーカーを現地捜査することが可能となりました。しかしながら、アリババ社が言うには、越境における偽物問題はこの事案のように容易に解決できるものばかりではなく、むしろ解決が著しく困難で、国際的に多くの手を借りそれぞれの国や地方との連携が必要となってくるのです。
アリババ社のチーフガバナンスオフィサーである郑俊芳氏は「越境ECにおいて検挙される偽物商品に関する事案は氷山の一角に過ぎません。越境ECショッピングが中国人消費者の日常となり、それに伴い偽物商品の問題は無視できなくなっています。関係者、関係組織との新たな協力体制を築き、世界規模での偽物問題を解決していきたい」と述べています。
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