水面下で動いていた、“WeChat(微信)ミニショップ”の内部テストが行われました。これは、テンセント社(腾讯)が新しくリリースしたサービスでインストール不要なミニプログラムになります。開設後直接ソリューションを使ってライブ配信と販売が可能なサービスで、最大のポイントは、個人にも使い易いという点です。ソーシャルバイヤーなどの個人事業主にとっては朗報となりました。
更にWeChatの動画アカウントの登録開放について、張小龍氏(現テンセント社シニアバイスプレジデント)は自身のモーメンツ(つぶやき)内で、以下のように述べました。動画アカウントのDAU(Daily Active Users)は2億を超え、WeChatは12億DAU(Daily Active Users)を囲い込みできたため、新サービスのスタート早々トラフィック獲得コストも低くできるのではないか。
年初にWeChat公式アカウントでライブ配信機能をスタートし、すぐに一般ユーザー向けのライブ配信&ショット動画機能をリリースしました。
言うまでもなく、テンセント社が本格的にライブコマース市場を狙い始めています。
WeChatグループの価値を高めるための施策
WeChatはテンセントにとって最も重要なコンテンツですが、今までの発展は張小龍氏によってコントロールされていました。
テンセントは京東(JD、中国の2大通販大手)の株主でもあるため、商業化に対する考え方は比較的控えめでした。
現在、WeChatがテンセントにもたらす企業価値は、広告と他の商品への誘導のみの為、テンセントとしては、いかに合理的にWeChatの莫大なトラフィックを現金化するかということが課題でした。
今年の四半期、テンセント社交(APP)、及び他の広告収入は、前年度比47%増で145.92億元(2兆3億円)となりました。ただ、この増加率は主力機能のモーメンツ内の広告の露出度アップによって成し遂げたとも言われています。しかし、モーメンツでの広告は多くのユーザーから非難され、また公式アカウントを提供する記事内に宣伝文も多く、ユーザーの満足度にもかなり影響したようです。
※社交APPとは、日本のカスタマーフォローによく使われている、中国での普及率も高いチャット形式のアプリのことです。
現在、WeChatは公式アカウントとモーメンツの二大公開領域では、アクティブユーザー数が減り続けているという難しい局面に立たされています。このような状況によって、WeChatはミニプロクラムや、検索機能、WeChatグループなど、非公開領域内のトラフィックの掘出しが相対的に重要となってきています。
今年の3月以降、WeChatグループは立て続けに新しい機能を更新しています。
3月21日、WeChat 7.0.12はグループ設定、グループ待機、二つの新機能をアップデート。
4月13日、WeChatはグループ会話のネームメモ機能を追加。
5月21日、Android7.0.15は内部テストに入り、グループメニューでは”グループしりとり”の固定入り口を設け、グループ機能を追加。
時を同じくして、テンセントが自社開発した電子商取引プラットフォーム“小鵝拼拼”(Xiaoepinpin)は、WeChatグループ属性開発に差し掛かりました。
4月末、テンセントが開発した共同購入プラットフォーム“小鵝拼拼”ミニプロクラムはリリースされました。
“小鵝拼拼”の肝は、ユーザーが割引された商品を共同購入できるようにしたことで、ビジネスモデルは”拼多多”(ピンドゥオドゥオ)の共同購入にかなり近いようです。また、最近“小鵝拼拼”が開発した”グループショップ”は、まさにグループ属性内のショッピングをするために開発されたツールでもあります。
“小鵝拼拼”及びそのグループショップの開発者はテンセントのPCGチームで、電子商取引分野で壁に突き当たりましたが電子商取引を諦めていないようで、広告媒体から電子商取引の転身を模索しているところです。
Wechatの新しい収益性はどこから?
WeChatグループの価値はその本質から抜けでてはいません。WeChatの商業化に最も影響をもたらしたのは、約5ヶ月間内部テストを行った後、リリースされた動画アカウントで、もう一つは今まだ内部テスト中のWeChatミニショップです。
今年初めのWeChat公開セミナーでは、張小龍氏から、公式アカウントの主流は今後も”長文”と表明されましたが、公式アカウントにとって、誰でも自由に発信できるプラットフォームの機能はまだ十分ではないようです。
正直なところ今の時代、動画放送ができないSNSプラットフォームは殆ど存在しません。
映像制作のコストはやや高めですが、情報量、ユーザー満足度は文章単体より遥かに高く、今はパケット料金も大幅に下げられているため、多くののユーザーはパケット代を気にせず動画を視聴できるようになっています。
動画アカウントは、WeChatの今までのシンプルな設計そのままで、本体機能も相対的に簡単なようです。
個人の動画アカウントでは、モーメンツのオープンさがグレードアップされたようで、新しく自分を表現できるチャンネルを設けることができるようになりました。この新しくスタートしたサービスは今まで公式アカウントの表現不足を補えて、新しいトラフィックの獲得や、より自身の能力を発揮できる空間を得られます。
但しサービスメニューの面から分析すると、機能性はTikTok(抖音)、快手(Kuaishou)と比較すると物足りないものとなっています。
WeChatミニショップ(2020年9月より新しいバージョンリリース)
WeChatミニショップはミニプロクラムチームから新たに提供されたサービスです。開発の必要がなく、オーナーは無料で店舗をオープンでき、すぐに商品販売ができるようなミニプロクラム作成もサポートします。
ミニショップはオーナーに商品情報公開、取引、ミニプロクラムライブ配信などの機能を提供します。あらゆる面から店舗運営をサポートしているようです。
WeChatミニショップは、オーナーの手を煩わせることなく、ボタン一つで自主運営できる販売専用ミニプログラムです。登録後ユーザーは直接このプログラム内でライブ配信と商品販売を行うことが出来ます。
機能上、このサービスは公式アカウントWeChatショップのグレードアップバージョンで、利用のハードルを下げた上、ライブ配信の機能が追加されました。
雑誌《金融界》の記事によると、テンセント社はこのミニプロクラムの影響力を利用して、公式アカウント、動画アカウント、ミニプロクラムとライブ配信販売を一体化し、更に今まで眠っていたWeChatユーザーの獲得を考えているようです。
WeChatが電子商取引を開始できる重要なポイントは2つあります。
一つは支払い、もう一つはミニプロクラムです。
前者は相対的に成熟していますが、後者はこれから継続的に運営しながら修正が必要となります。
劉熾平(テンセント執行役員)氏は“ミニプロクラムは今後小売業者の基礎設備になる”と考えているようです。より多くの小売業者はリアル店舗とブランド力が消費者との直接取引には重要と考えています。将来はミニプロブラムは消費者とブランドを直接繋ぐプラットフォームとなっていくでしょう。
まさに劉氏の言葉通り、ミニプロブラムは、実態のある商業と消費者を繋げ、独自の一つの完全な販売網を作り上げました。
決済機能を通じて、ユーザーと販売者両者はWeChatのみで決済できます。カスタマーサービス、企業アカウント、ラッキーマネー(紅包)、クーポン券などのサービス機能では、オンライン上でお客様の関係性を管理できます。
運営側からの視点によると、WeChatには二つの特徴があるようです。
一つはブロック化です。
これをしたことによって、WeChatはB端の顧客とC端ユーザーに対し、繋がるきっかけとサポートを提供します。例えばQRコード、公式アカウント、捜索エンジン、支払い機能、ミニプロクラムなど、ショップオーナーはこれらのメニューを自分自身の業務の必要性に合わせて、これらを低コストでカスタマイズできます。
もう一つは内部の変化です。
コミュニティはWeChatにとって最も基本的かつ最強なコンテンツ、内容、サービスです。コンテンツを通じて拡散し価値を最大化でき、また今までの中心となるトラフィック”導入――転換”のライン操作を破り、顧客獲得コストを大幅に下げ、短期間で拡散することができるのです。
動画アカウントとミニショップのポイントは、WeChatの今までのビジネスモデルへの補填と、新しいトラフィックの受け皿を作り出し、両者の組み合わせは一般ユーザーにとってはまさに嬉しいニュースとなりました。
Wechatが第三者プロバイターのチャンスと挑戦
WeChatミニショップは市場がテンセント電子商取引業務への期待感を高めてくれました。しかし、内部の第三者プロバイターへの影響もあるようで、香港株式市場のSaaS(Software as a Service)銘柄は軒並み暴落の結果となりました。
WeChatは商業化の土壌を作りだし、多く電子商取引プラットフォームと第三者プロバイターを輩出し、共に商業圏を拡大してきました。しかしWeChat Payの支払率以外、実際にテンセントは得られるメリットはなく、またWeChatは電子商取引に直接参入することに壁を感じているようです。
Wechatの機能提示
店舗オープンから運営まで、商品管理、店舗運営、ライブ放送管理、資金管理などを含め、エンドーユーザーにより良い買い物体験を提供しています。商品の紹介ページ、展示方法、ライブ放送用の補助ソフトなどについて、張小龍氏はオープンかつ透明な規則を好むようで、全てのパートナー企業に対し区別なく同等に扱っています。テンセント自身の電子商取引プラットフォーム、WeChatも同じ対応で、この考え方はWeChatの長期的な発展においては極めて重要だと考えられています。
年初にてリリースしたWeChat公式アカウントのライブ配信で、無料のミニショップは運営会社の集客サイン、WeChatはライブ電子商取引に手を出すということを示しています。ミニショップの機能は、通常運営に支障なく使える程度のため、さらなる運営には第三者プロバイターと協力して開発しなければなりません。
(弊社の実績としてKOLを活用して美容鍼体験ライブを行うことで、大量の顧客を美容院へ誘導することができました)
瑞信(金融サービス機構)の調査報告書にも掲載したように、テンセントミニショップはロングテールに対応するコンテンツで、小型第三者SaaSの提供側(サービス利用料は1000元以下)に直接的な影響が大きいといえます。なぜなら彼らの機能とユーザー層が重なっていて、微連盟のようなサービストップ運営側の提供先ではないからです。
乱翻書(知名ライダー)の記事によると、2019年ミニプロクラムの年度取引高は8000億元で、今年の目標は3万億元。WeChatが大手になるには、外部との連携は必須となり、第三者開発側は絶好のチャンスと捉えます。同じく微商(WeChat内の個人事業主)にとっても新しいチャンスとなるでしょう。
今回のテンセントのミニショップについて日本のメーカーは、どのように捉えればよいでしょうか?
個人的な考えを述べると、日本メーカーにとってはまさに今がチャンスだと考えています。なぜなら、今までのライブ販売は主にタオパオ、京東などの大手通販サイド内で、KOLを使って商品を宣伝していましたが、売上高を求めるなら、やはり多数のフォロワーを擁するKOLに依頼し、広告費の予算も高く見積もらなければならなかったからです。
多くの日本の中小企業は、越境ECに参入したい気持ちがありながらも、ライブ配信による販売はハードルが高すぎて、なかなかチャレンジできないと二の足を踏んでいました。今回のミニショップはこうした中小企業にとって、越境ECへの参入のハードルを一気に下げたのではないでしょうか。弊社は長年越境ECに携わってきて、信頼していただき実績も積み上げております。
実績に裏打ちされた価値のあるご提案で、御社商品をご案内させていただきます。是非皆様もこの千載一遇のチャンスを我々と共に掴みましょう。
ご不明な点がありましたらお気軽に弊社までお問い合わせください。
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