日本でもライバーなどeコマースが活性化する中、中国のライブコマースで欠かせない存在となっている「KOL」をしっかりと理解することがこれからの5G時代には求められます。
「KOL」というワードをよく聞くけど、実際のところよく理解できていないという方のために解説していきます。
おぼえて置きたい3つのワード
①KOL:キーオピニオンリーダー
②KOC:キーオピニオンコンシューマー
③インフルエンサーとの違い
①KOL:キーオピニオンリーダー
特定のコミュニティで強い影響力を持つ人物をKOL(キーオピニオンリーダー)
といい、中国の消費者の購買意志決定の際に強い影響力与えると言われています。
KOLはもともと医療業界において、製薬企業の販売促進などに影響力を持つ医師などの専門家を指す言葉でしたが、最近では中国マーケットにおいてブログやSNSで多数のフォロワーを擁し、自身が推薦する商品やブランドやサービスなどの情報を発信する人が「KOL」と呼ばれるようになりました。
②KOC:キーオピニオンコンシューマー
KOCはKOLとは違いフォロワーの数に関係なく、自らも消費者の立場(コンシューマー)でありながら、レビューサイトで影響力与える人のことを言います。 消費者視点で商品を分析したり、サービスを使い込み特性を的確なメッセージで広めるなど、口コミなどで購買意欲を掻き立てる役割を果たしています。
③インフルエンサーの違いとは?
日本でもインスタグラムやTwitterなどでインフルエンサーが活躍しています。このインフルエンサーとの大きな違いは「専門性」です。影響力のあるインフルエンサーやKOLを判断する基準はフォロワー数が一番わかりやすく、情報のリーチ規模拡大に貢献する指標になっています。しかし、商品をPRする場合にはフォロワー数よりも説得力と訴求力が求められます。周囲は異なる意見や価値観を持っているが、ある人物の意見や発言を中心として同調・共感を得る、影響を与える人物のことを「キーマン」と呼びます。
なぜ中国ではKOLやKOCが注目されるのか?
まず、中国市場でマーケティングをする上で理解しなければいけないのが、政府の規制が厳しいということ、インターネット上での表現が規制されており、表現の幅が狭まいということが挙げられます。なので中国では知りたい情報を検索するよりも、KOLやKOCからの高い商品訴求力により消費者の購買意欲を高めているのです。また、KOLやKOCを活用したプロモーションは訪日外国人の誘致や認知獲得にも効果的であり、効率の良いマーケティングをおこなう上で重要な役割であると考えられています。専門分野で影響力を持つようになったKOLとKOCが日本でも活躍しており、今後もeコマースが発展するにつれて、その存在が重宝されていくのは間違いないと予想されます。
男性が口紅を塗ったパフォーマンスで3億2,000万円の売上に!
中国コスメのeコマースの世界でいち早くトップKOLの地位を確立した一人が李佳琦(リー・ジャーチー)です。元々は化粧品メーカー「ロレアル」の販売カウンターで接客を行うビューティーアドバイザーの1人に過ぎませんでしたが、ライブ販売をするにあたり、詳しい商品説明ができる進行役として抜擢したのがきっかけで、一躍有名になりました。
配信の内容も奇抜で男性が自分に口紅を塗って見せるパフォーマンスが視聴者の共感を呼び。
人気を伸ばしていき、ビューティーアドバイザー時代の月収はわずか6000元(約96,000円)だったのが、1回のライブ配信で2,000万元(3億2,000万円)まで売り上げ、今ではランキングトップのKOLとなりました。
李佳琦がトップKOLになったのは、男性がリップを塗るのは女性が行うよりも目を引く行為で、それが“映え”ればさらに注目が集まったと言われていますが、決め手は元“ビューティーアドバイザー”という専門性があったからだと推察されています。商品に対する深い理解度と高い説明能力があるからこそ共感が生まれました。そして、李佳琦の特徴として良いものは良い、良くない者はダメだとはっきり言う辛口トークも中立的な立場であることを示しファンが信頼し購買に結びつくようになり売上に貢献しています。
中国で生まれたライブコマースはこれまでにないビジネスモデルであり、不確定な要素に対して試行錯誤を繰り返すことで成功したとも考えられます。そもそもチェレンジする勇気がなければ、いちビューティーアドバイザーがライブ配信の進行役を務めることはできないです。KOLは万能ではなく、専門分野に特化した影響力をもつ人なのであることを証明しています。
日本でKOLを活用するのはどうしたらいいのか?
日本でKOLを活用したプロモーションも広がっています。観光地では多くのフォロワーを持ったKOLが日本の観光名所を紹介し、認知を高め誘致する動きも積極的に行われています。しかし、KOLフォロワーの数でしか判断ができず、フォロワーの属性や専門性までは注力されていないのが現状です。そのため、多くのフォロワーがいても反応が少なかったりするケースもあり、KOLの目利きが今後の鍵になってくると思われます。
また、しっかりと意思疎通を行い、信頼関係を築くことも大切です。日本のプロモーションのほとんどが商品を宣伝してほしい、観光地をアピールしてほしいといった内容で、台本を渡すだけになっています。KOLが興味の引く内容を探りながら、しっかりとストーリーや背景を伝えることで、KOLの専門知識を引き出すことができ、熱量のこもった宣伝ができるようになります。日本ではこのKOLの育成などがほとんど行われていないのが現状です。
これから、日本も5Gの普及により、超高速で人やモノが繋がることで、より便利で簡単な買い物体験が可能になります。そして、膨大な消費者データを迅速に蓄積することでユーザーのニーズ把握がより具体的になります。こうした中で日本でもKOLの存在が求められることは間違いありません。そしてVR(仮想現実)/AR(拡張現実)の活用でKOLも様々な活用ができることが見込めます。日本独自のライブコマース文化が生まれ、新しいビジネスチャンスが誕生しようとしています。
KOLの育成や活用法、ライブコマースの相談ならお気軽にCLIPsまでお問い合わせください。
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