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【終わりの始まり】訪日爆買い時代の終焉

【終わりの始まり】訪日爆買い時代の終焉
2010年代に入ってから、各メディアで何度も取り上げられた「爆買い」。

2015年には流行語大賞にもノミネートされ、いまや、中国人が来れば必ず爆買いしてくれると、国内の小売店さんなどは大きな期待をよせ、実際にその恩恵を受けた企業も少なくありません。

しかしながら、この爆買い時代も、既に終焉を迎えようとしています。
上海と東京を行ったり来たりしているうちに、その実感をまざまざと感じてきたわけです。

'爆買い終焉説' を積極的に唱えるわけではありませんが、ひとつの理由としては、「中国人消費者自身の変化」があげられます。

ひと昔前までは、日本に来れば何でも爆買い!日本に来たからには、親のため、ジジババのため、いとこのため、ハトコのため、トモダチのため!
挙句の果てには、こんなものまで爆買いターゲットになっていた始末。
コンドーム
それが今や、本当に質の良い物だけを求めて購入するという訪日中国人の方が増えました。
私の上海の友達も年に3~4回は訪日していますが、本当に自分が気に入った物を選んで買うという風に変わってきた気がします。

また爆買い終焉の要因に、元安円高による単純な為替の影響もあります。
円が高くなってきているというよりは、中国の諸々の政治経済事情による元安は否めないですね。

そして、EC越境プラットフォームの進化。
様々な越境ECが立ち上がり、みな顧客との接点を増やしながら、コミュニケーションをスムーズにする技術を開発・導入し、そして商品数を増やしています。しかも、日本国内の小売店における流通価格と同レベルで商品が買えるようになってきました。わざわざ日本に行かなくてもネットで買えるというわけです。

また、爆買いを終わらせる原因は、外的なところにもあります。

中国政府による関税の見直しが進んでいますね。いびつだったそれぞれの商品に対する関税率が合理化され、海外商品が、国内の消費者に行き渡りやすくなってきています。

税関の規制も厳しくなってきています。
当社スタッフが上海に送っていた親戚へのプレゼントも、去年12月までは普通に送れていたはずが、先日戻ってきたようです。また、上海側のスタッフが言うには、例えば商品点数にして5個以上、または金額にして1000元以上の状態では、税関ストップがかかると。

あと、中国本土発行の銀聯デビットカードについて、中国国外での引き出し金額の年間制限が設けられたことも、ボディブローのように効いてきます。
2015年までは、1日あたり1万元まで引き出し可能という制限のみでした。約20万円ですね。
しかし今年1月1日から、これに加え年間引き出し制限10万元というのが設けられます。つまり年間200万円までしか引き出せないということですね。

国外に持ち出せる現金が制限されている中、これまでは銀聯デビットカードこそが'伝家の宝刀'でしたが、その銀聯デビットカードさえも引き出し金額にガッチリと制限が設けられました。

しかたなく、私のとある友人なんかは、友達の銀聯デビットカードを借りてきてまで、日本で買い物をしていました。

 

ただし、爆買い時代の終焉と同時に、顧客囲い込み時代が到来します。
顧客との接点が、'爆買いに来たその一瞬'だけにとどまらず、本当に自社のプロダクトを評価し、こよなく愛してくれる中国人顧客とどのように繋がっていくか。
爆買い時代が終わろうとも、中国人の購買力と将来性は無視できません。
中国人消費者と正しいコミュニケーションをとり、見込み客を顧客に育て、ファンを作り、リピート購入につなげていくことが、これからの中国対策の重要なテーマですね。

 

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