※中国の国務院とは、日本の内閣に相当する行政機関で、1982年憲法では、国務院を「最高の国家権力の執行機関であり、最高の国家行政機関である」とまで規定しています。
【初めて中国に越境輸入される化粧品に必要な手続き】
現行の「化粧品衛星監督条例」の中の規定では、初めて輸入をする化粧品、輸入企業は同製品の説明書、品質基準、検査方法などの関連資料、ならびに輸出国(地域)の原産地証明書類の提供が、厳格に義務付けられています。その上で国務院の衛生行政部門の許可を経て、輸入契約書が有効になるとされています。
これらの申請及び許可を得ずに化粧品の輸入を行った事が発覚した場合、輸入商品金額の3から5倍の罰金を科す、という規定もあります。
【浦東新区の保税区を利用すれば、商品登録時間が短縮できる?】
24号文によれば、浦東新区においてはこれらの規定は当面実施を停止し、先に商品登録に関する手続等の体制を見直すようです。正式な登録手続きにこだわっていると、時間ばかりがかかり、市場の発展と成長のスピードに影響が出る、という事を懸念しているのでしょう(但し、具体的な新しい届出受理に関する細則は、まだ公布されていません)。
越境EC「正面清単」(輸入可能品目リスト)中の規定によれば、越境保税モデルにより輸入が許可される化粧品は、「初めて輸入される化粧品ではない」こと、言い換えると、初めて輸入をする化粧品には、一般貿易と同じ届出申請が義務付けられています。これは経験のある方ならご理解いただけると思いますが、非常に長い期間と労力を必要とします。
もし24号文が正式に効力をもった場合、初めて輸入をする化粧品は、浦東新区においてはより短期間での輸入許可及び登録完了が期待できます。これは越境保税モデルでの化粧品輸入業者にとって、朗報であると言えます。
また、「化粧品衛星監督条例」の中では、既に13.6万種類の化粧品が輸入許可を得ているものの、その大部分が国際的に知名度のあるブランドとなっている事を認めています。消費者が越境ECを通じ、より豊富なブランドと商品群から購入する化粧品を選択できるのが望ましい、とも明記しています。
【喜んでばかりはいられないのが中国向け越境EC】
とは言え、確かに浦東新区における初めて中国へ輸入される化粧品の届出に関し、手続き自体は簡素化されるかもしれません。しかしながら越境輸入モデルの輸入品は、「入庫」の際依然として貨物検査済みの通関証が必要であり、この点は24号文においても一切の変更がありません。越境輸入貨物は、要求される全ての書類を提出して、初めて保税区への入庫が許されるのです。
見直し後の商品登録手続き方法も不明で、どのくらいの手間と時間を短縮できるかもわかりません。また、見直し後に上海浦東新区へ化粧品の登録申請が殺到する可能性もあり、処理能力自体も現時点では不明です。
中国保税区を利用して輸出をする企業は、引き続き情報収集を怠ってはいけません。中国の法令は、公布されてから実施までが日本よりはるかに速いのです。気づいたころには自分たちだけが古いやり方で取り組んでいたということがないよう、十分に注意してくださいね!
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